(※画像はイメージです/PIXTA)

近年、建設需要の増加により、業界は好景気の明るい見通しです。しかし、これが中小規模の建設会社にとって追い風になるかは疑問です。大手と中小間で利益格差が生じ、逆風に転じる可能性を十分に秘めているからです。原価管理システムの開発・提供をしている三國浩明氏が、生き残りをかけて、さまざまな見直し・改革が必要な建設会社に必須の「原価管理術」を解説します。

いきなり大きな目標を立てず簡単なフローからスタート

これから原価管理を始めるのであれば、「小さく生んで大きく育てる」という言葉を頭に置くことが大切です。

 

目標を大きく立てて挑戦することは悪いことではありませんが、高過ぎる目標を超えられないからといって原価管理をやめては本末転倒です。

 

中小規模の建設会社の多くは、実行予算を作成するどころか工事ごとの原価集計さえも行っていないところがほとんどなのでいきなり大手ゼネコンが行っているような原価管理を持ち込むのは現実的ではありません。

 

そこでできる範囲の最低限の管理として、次の3項目からチャレンジするとスムーズに原価管理を行えます。

 

1、工事ごとに「労務費」と「それ以外の費用」に分けて実行予算を立てる

2、工事ごとに「労務費」と「それ以外の費用」に分けて原価集計をする

3、1と2を比較し、きちんと利益が出ているのかを確認する

 

原価管理でいう原価は「材料費・労務費・外注費・経費」の4つに分けるのが基本と説明してきましたが、3項目を見て「あれ?」と感じたかもしれません。

 

ただ、いきなり社員に「工事原価を材料費・外注費・経費に分けて報告すること」と指示をすると、面倒に思われてしまい結果として、うまく進まないケースもあります。

 

そこで、「労務費」と「それ以外の費用」に分けています。労務費は普段からつけている日報で算出できますから、現場担当者でも集計できます。

 

今はスマートフォンを使って日報を入力できるソフトもあるのでそうしたツールを使えばさらにスムーズです。

 

しかし、それ以外の原価を集計するには請求書や納品書などから原価を確認し、材料費・外注費・経費に分類することになるので、大変に思われてしまいます。

 

結果、原価管理のための集計をしてもらえないという悪循環となります。

 

実は原価管理システムを活用すればこの問題は解決できるのですが、最初は原価を細かく分類せずに原価管理を経験し、工事原価管理の一番大切な目的である工事ごとの利益を感覚としてつかむことです。

 

まずは労務費と労務費以外という2つの原価を集計してみる。このくらい割り切ってスタートし「利益がつかめるようになった!」という成功体験を社長自身が感じることが大切なのです。

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利益を生み出す建設業のための原価管理術

利益を生み出す建設業のための原価管理術

三國 浩明

幻冬舎メディアコンサルティング

大手電器メーカーのコンピューター販売部門に30年間務めるなかで、建設会社への原価管理システム供給の必要性と将来性を感じ、起業。業界導入実績ナンバーワンを記録した、原価管理システムを提供している著者が、長いキャリア…

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