やらなければ物件の運営を維持できない「復旧工事」
賃貸物件のリフォームには、不具合を正常化する「復旧工事」と、物件の価値向上を目的とした「アップグレード工事」の二種類があります。「復旧工事」はマイナスをゼロに戻すものです。「アップグレード工事」は文字通りプラスαを求め、家賃の維持またはアップを狙うものです。
簡単な例を挙げるなら、「復旧工事」は、水道から水が漏れているとか、網戸が破れているといった不具合の修繕です。もっと大規模なものだと、外壁のタイルがはがれ落ちる寸前で、そのままでは入居者や通行人に被害が及ぶ場合の工事などです。
要するに、その工事をやる、やらないの判断ではなく、やらなければ物件を運営できないものが「復旧工事」だと考えてください。ただし、「復旧工事」においても「費用対効果」の視点は重要ですのでコストを抑える工夫は必要です。
「アップグレード工事」は費用対効果が見合うか?
一方の「アップグレード工事」は、「復旧工事」と異なり、必ず行わなければいけないものではなく、「費用対効果」を考えてやるか、やらないかを判断する工事です。例えば、キッチンを変えた場合に、現状のままと交換した場合とで比較し、どういった効果が得られるのかをきちんと考える必要があります。
賃料アップなどに効果が表われなければ、無意味なリフォーム(支出)となってしまいます。工事を行う場合には、まずそれが「復旧工事」なのか、それとも「アップグレード工事」に該当するのかをしっかりと考えた上で判断することが大切です。
もちろん、両方が混在する場合やはっきり線引きできない工事もありますが、リフォーム(改修工事)を行う上での基本的な考え方として認識しましょう。