前回は、賃貸アパートの「塗装工事」を検討する際の着眼点を紹介しました。今回は、賃貸物件の大規模修繕で重視したい「防水工事」について説明します。

物件売却時の告知事項に該当する過去の雨漏り

●防水工事

大規模修繕において重要となるのが防水工事です。なぜかと言えば、防水の劣化が即雨漏りに直結する部分だからです。アパート経営では入居者が退去するのが一番のリスクです。万が一雨漏りがしてしまえば大きなクレームになってしまうのはもちろんですが、最悪の場合入居者が退去してしまいます。

 

物件を売却する場合にも、過去に雨漏りがあったということは買い主の方への告知事項となり、物件の価値は下がってしまいます。そのようなことにならないために、建物の防水性の維持は特に意識したいところです。筆者の会社では定期的に管理物件の建物状況を視察し、必要があれば修繕の提案をオーナーさんにしています。

「防水塗料」を上手に使えば安価な施工が可能に

ここで、防水工事のポイントを4点お伝えします。

 

①予防という視点を持つ

先述した通り防水性能を欠くと即雨漏りに直結します。実際に雨漏りしてしまってからでは多額のコストがかかってしまうので、コストを抑えるためにも予防という視点に立ち施工することが重要です。

 

②保有期間に応じて施工レベルを変える

塗装同様取り壊し・売却・長期保有等、どのような運用方針なのかによって施工レベルは変わります。シート防水を例に挙げると、全面張り替えまたは一部張り替えのどちらを採用するかという視点です。

 

③防水塗料をうまく使う

平成以降に建築された賃貸物件に多いのがシート防水という工法です。塗装業者さんの提案でよくあるのがこのシートを使った全面張り替えです。このままで工事をお願いしてしまうと非常に費用がかさみます。劣化が激しくなければシート防水用の塗料を上塗りし、安価に施工することができます。また廊下など共用部においても塗装からシート防水への「アップグレード」を薦められる場合があります。物件のグレードによりますが、塗装で施工しても入居率にはあまり影響しません。

 

④色も工夫する

防水材(ウレタン塗装・シート防水・アスファルト防水などで使用される材料)は色の種類が少なく、特に注文をしないと緑色などの防水塗料(シート防水)を使われてしまう場合があります。当社では防水塗料を施工する場合にはひと手間かけ、物件の色合いに合わせて施工してもらいます。シート防水を張り替える場合でも色を指定するようにしています。

本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『改訂版 空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

空室率40%時代を生き抜く!  「利益最大化」を実現する アパート経営の方程式

空室率40%時代を生き抜く! 「利益最大化」を実現する アパート経営の方程式

大谷 義武 太田 大作

幻冬舎メディアコンサルティング

アパート経営は今までと同じやり方では利益が出ない時代へと状況が大きく変わってきています。歴史上初めての大きな転換期を迎えていると言っても過言ではありません。だからこそ今のうちに、アパート経営を見直し、しっかりと…

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