工事を取り仕切る「現場監督」の役割は大きい
入居者の満足度アップのためにリフォーム工事や塗装工事をしたのに、逆にクレームが多発してしまった──こんなことにならないためにも、施工(工事)管理という面も忘れてはいけません。
「管理なんて工事業者に任せておけばいい」などと思っていると大変なことになります。各リフォーム工事には、多くのクレームの火種が眠っています。例えばこのようなものです。
•騒音によるクレーム
•工事告知の遅れによるクレーム
•塗料の臭いによるクレーム
•工事車両の違法駐車による近隣住民からのクレーム
•私物への塗料付着によるクレーム
工事の管理がしっかりしていれば問題はないのですが、実際の工事にはどうしてもクレームがつきものです。このクレームを、いかに小さく抑えるか(ゼロに近づけるか)が肝要です。
そのため、工事業者の現場監督の存在は重視すべきですし、さらには、その現場監督を管理する管理会社の役割も重要です。
現場を取り仕切る監督がラフな方ですと、現場はたるんだ雰囲気になります。現場がたるんでいれば、落下物などで入居者に怪我をさせてしまうかもしれません。オーナーさんに使用者責任が問われる場合もあります。現場が荒れていると、何よりも入居者に迷惑がかかります。ひどい場合には退去にもつながりかねません。スケジュール管理、入居者への告知、挨拶やゴミの持ち帰りなど、工事業者が気をつけなければならない点は多々あります。
そのため、誰に現場を任せるかは大きなポイントです。現場監督の選定をミスするというのは、現場に爆弾を放り込むようなものです。十分注意が必要です。初めて仕事を依頼する業者の場合は、現場監督の方と事前に打ち合わせ(面談)をし、現場を任せてよい方か判断する必要があります。もし、危ないと思ったら担当を変更してもらうか、業者自体を代えるのが得策でしょう。
管理会社経由で工事を依頼する場合には、クレームが出た場合の処理を管理会社が行うのですが、それに伴う退去が出てしまうと、結局はオーナーさんの利益を大きく損ないます。きちんと工事業者の管理を行うことも管理会社の重要な役割です。
ダブルチェックや定期的な進捗管理が重要に
その他にも、筆者の会社では内装工事でチェックリストを使い、工事業者の管理を行っています。ある程度の規模でリフォームする場合などは、内装業者とクリーニング業者を分け、ダブルチェック体制で管理しています。
以前は内装業者の指定するクリーニング業者に一括発注し、内装業者のみにチェックをお願いしていましたが、細かい部分の抜け(網戸の破れや、ふすまの動きが鈍いなど)がありました。そして入居者からのクレームが数多く寄せられ、クレーム処理に時間とコストがかかってしまう結果となったのです。
そのため、内装業者とクリーニング業者を分け、両者からチェックリストを提出してもらうことにしました。そうしたところ、それぞれの施工精度が向上し、細かい不具合が減り、入居後のクレームは大きく減りました。
もちろん、現場に工事の進捗を確認に行くことも重要です。筆者の会社ではコンストラクションマネジャー(CM)が現地を確認します。
工事の初期段階・中間・最終確認と大きな工事では最低3回現地に向かいます。また、工事の進捗は工事業者からメールや電話で報告を受けます。筆者の会社で提携している工事業者の方はすべてメールでのやりとりが可能です。中には「FAXで」という方もいらっしゃいますが、当社と提携前に操作方法をお伝えし、メールを使えるようにしていただきます。
これは余談ですが、リフォーム完了後からの募集を最短化するために、賃貸募集用の撮影もリフォーム会社にお願いしています。この撮影方法もメール同様に講習会を開き、アングルなどを指定し、一律に高いクオリティの撮影画像を得られるようになりました。
このように、問題が発生したらその都度検証し、早急に改善することが何より大切です。