(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、フィデリティ投信株式会社が提供するマーケット情報『マーケットを語らず』から転載したものです。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

マーケットの見方…マクロストラテジストの場合

マーケットの方向性やトレンドを知るときには、メディアが取捨選択しているニュースに受け身にならず、「ご自身で幅広い資産の、やや長めのデータをクロスチェックされる」ことがよいでしょう。情報の断片では頭のなかは整理されません。

 

たとえば、「WSJ market data」と検索すると、主要な株価、米国債の各年限、主要な通貨、主要な商品などの値動きが、1年や3年単位で簡単に見られます。スマートフォンからは使い勝手がよくないですが、パソコンではとても見やすく、使いやすくなっています。

 

筆者の場合、「株価と長期金利を見比べる」「長期金利と短期金利を見比べる」「株価と原油を見比べる」「金利とゴールドを見比べる」……といったかたちで、どう連動しているか(「支配的な流れはなにか」)、その連動が崩れてきていないかを確認します。

 

「あるイベントがあったので、こうしたマーケットになっている」と天下り的に受け入れがちですが、逆に「こうしたマーケットになっている。それはなぜだろうか」と自分で考え直すことも重要です。

 

この「支配的な流れ」というのは「マーケットの短期的なテーマ(相関関係のようなもの)」を指していますが、ちなみに、ダリオは相関関係の不安定さを強調します。このことが、オールウェザー・ポートフォリオ(全天候型ポートフォリオ)の決定的な差別化要因になってきます。

金融市場は「ゴルディロックスな景気後退」を織り込む

7月分の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月から52万8,000人の大幅増加となりました。

 

[図表1]米国の非農業部門雇用者数(前月からの変化)
[図表1]米国の非農業部門雇用者数(前月からの変化)

 

強い雇用指標の一方で、①金融市場の「緩やかな景気後退の織り込み」にはほとんど変化がなく、②インフレの懸念は後退したままで、ほとんど感じられません。

 

言い換えれば、①厳しい景気後退の織り込みもなければ、②利上げの継続や引き締めの継続(=政策金利の高水準での維持)もありません。

 

たとえば、株価は緩やかな下落トレンドであり、長期金利は低下しています。

 

[図表2]S&P500および米国10年債利回り
[図表2]S&P500および米国10年国債利回り

 

債券市場では、2年金利は高止まりする一方で、3年金利以降が低下傾向にあり、利下げはまもなくとの織り込みです。

 

[図表3]米国債イールドカーブ
[図表3]米国債イールドカーブ

 

同じことは、フェデラルファンド金利先物でも確認できます。

 

[図表4]FRBの政策金利および金融市場による見通し
[図表4]FRBの政策金利および金融市場による見通し

 

商品市場では、原油や銅などが下落し、ウクライナ危機以前の水準です。

 

[図表5]原油および銅の価格
[図表5]原油および銅の価格

 

長期のインフレ期待も鈍化したままです。

 

[図表6]米国の今後10年期待インフレ率
[図表6]米国の今後10年期待インフレ率

 

まとめれば、景気後退とはいえ「とても平穏な世界」、いわば「ゴルディロックスな景気後退」が織り込まれています。金融市場はサプライズによって形作られていますし、やや心配になる状況です。

 

次ページ穀物価格もウクライナ危機以前の水準

【ご注意】
•当資料は、情報提供を目的としたものであり、ファンドの推奨(有価証券の勧誘)を目的としたものではありません。
•当資料は、信頼できる情報をもとにフィデリティ投信が作成しておりますが、その正確性・完全性について当社が責任を負うものではありません。
•当資料に記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。また、いずれも将来の傾向、数値、運用成果等を保証もしくは示唆するものではありません。
•当資料にかかわる一切の権利は引用部分を除き作成者に属し、いかなる目的であれ当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録