ソフトバンクグループが半年で5兆円以上の損失で、過去最大の赤字。大幅下落による今後のアジア市場への影響に注目

ソフトバンクグループが半年で5兆円以上の損失で、過去最大の赤字。大幅下落による今後のアジア市場への影響に注目
(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 20,003.44 pt (▲0.21%)
中国本土株指数6,794.77 pt (▲0.39%)
レッドチップ指数 3,593.70 pt (▲0.48%)
売買代金821億8百万HK$(前日749億3万HK$)

米消費者物価指数の発表を明日に控え上値が重たい展開

明日の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、アジア市場は結果を見極めたいとするスタンスが強まり、株式市場は前日に続いて上値が重たい展開となった。

 

7月米CPIの市場予想値は前年同月比8.7%と前月に記録した40年ぶりの高水準からやや鈍化する見込みであり、インフレのピークアウト観測の期待が強まれば、株式市場にも方向感がみられる可能性が高い。

 

先週の米雇用統計の内容からは足元の堅調な米経済が再確認できた。今回のCPIの結果によっては急ピッチな金融引き締め観測も高まる可能性もあり、マーケットの注目が集まる。

 

足元の決算の警戒も高まっている。前日、米国市場は半導体大手のエヌビディアが今月24日の決算を前に第二四半期の売上高が市場予想を下回ることを示唆し、株価は前日比6.3%安で引けた。

 

また、アジア時間ではソフトバンクグループが、半年で5兆円以上の損失を出し、過去最大の赤字となったことで大幅安となった。

 

高PERの比重が高いナスダック総合指数は足元、前週まで3週続伸している。前月の好調な米インターネット株が相場を牽引しマーケットはボトム感も見出しているが、急ピッチで戻した半面、当面は調整入りの可能性も視野に入れたい。同指数は年初から約20%下落している。

 

9日の香港市場は朝方、香港行政長官の諮問機関である行政会議の招集人、葉劉淑儀氏がBloombergに対し景気支援を後押しするため、中国本土からの住宅購入者に対する追加印紙税の援助を検討する可能性があると供述した。

 

これを受け、ハンセン指数は200ポイント超上昇する場面もみられたが、報道官は午後、一転して上記の議論や計画がなかったと否定した。その後は上げ幅を縮小し一進一退の動きとなり、小幅安で引け二日続落した。

 

香港市場の商い自体は閑散相場が否めず、ハンセン指数は今月3日にサポートラインとなる20,000ポイント割れした後、一進一退の動きが続き4営業日連続でもみ合う展開が続く。香港市場の売買代金は5日連続で1,000億香港ドル割れと商いも盛り上がりに欠け、方向感は乏しい。

 

 

本土株は4日続伸。明日の7月中国物価統計にも期待

電子部品や半導体関連が軟調となり、ハンセンテック指数は前日比0.93%安と下落した。半導体ファウンドリーの華虹半導体(1347)は2.4%安、電子機器製造の比亜迪電子(0285)は2.2%安、自動車セクターも連日売られ、理想汽車(2015)は3.9%安だった。

 

一方、香港不動産株が上昇、香港不動産デベロッパーの新鴻基地地産発展(0016)は2.1%高、香港の大手コングロマリットの新世界発展(0017)は2.4%高となった。

 

本土不動産、管理サービスも短期的に上昇。不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は4.1%高、不動産事業の長江事業集団(1113)は2.0%高、不動産開発の龍湖集團(0960)は1.1%高となった。

 

中国本土株は上海総合指数が前日比0.32%高の3,247.43と4日続伸、中国経済の持ち直し期待が引き続き意識された。指数は1週ぶりの高値となり、エネルギー関連株をはじめ石炭セクターが指数を押し上げた。明日は7月の中国物価統計を控える。
 

 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

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