香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。
中国の輸出は予想上回る躍進
中国税関総署が7日発表した7月の輸出は、ドルベースで前年同月比18%増と予想外に加速。今年1月以来、最も高い伸び率で市場予想は14.1%、前月(17.9%)から共に上振れた。一方、輸入に関しては2.3%増と6月の1%増から加速したもの、市場予想(4%)を下回った。
新型コロナウイルス感染拡大を受けた落ち込みから回復を目指す中国経済にとって今回の結果は心強い材料となったが、輸入に関しては不動産市場が不安定など内需の脆弱さが目立つ内容となった。
また、輸入の内訳に関しては、ウクライナ侵攻で米欧の制裁を受けるロシアからが約5割増となった一方、米国からの輸入はマイナスとなった。中国経済は7月も厳格な新型コロナウイルス対策を実施し、個人消費は前月に続いて伸び悩んだことも影響した。
輸出に関しては上海のロックダウンが6月に解除され、海外向けの生産や物流の回復が鮮明となっている。ただ今後は世界的に消費減速の兆しもみられ、輸出の重石になる可能性が指摘されている。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>
Wells Global Asset Management Limited, CEO最高経営責任者
国際金融ストラテジスト <在香港>
京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)
シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004年末に東京三菱銀行(現:MUFG 銀行)に移籍し、リテール部門のマーケティング責任者、2009年からはアジアでのウエルスマネージメント事業を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。その後、独立して、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence(限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。
2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得して、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。(香港SFC CE No. BIS009)
世界の投資機会や投資戦略、資産防衛にも精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。
● 個人公式サイト
「HASEKENHK.com」(https://hasekenhk.com/)
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載国際金融ストラテジスト長谷川建一の「香港・中国市場Daily」