香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。
7月の中国景況感指数(PMI)は、市場予想を下振れ
中国国家統計局が31日発表した、7月の製造業購買担当者指数(PMI)は47.0と市場予想(50.0)を下回り、節目の50を2ヵ月ぶりに割り込んだ。
前回(50.2)発表された6月の同指数では、景気回復の兆しも出ていたが、中国本土の新規感染者は7月に入ってリバウンド基調が続き、市場の需要不足が響いたと考えられる。
内訳では生産、新規受注、雇用を示す指数がいずれも50を下回った。また、1日発表された7月の財新製造業PMIについても、市場予想(51.5)、前回(51.7)を下回り50.4だった。
非製造業PMIについても53.8と前月(54.7)から低下。ロックダウンへの懸念や、消費者心理の低迷により、中国経済の回復への道のりはより長くなる可能性が指摘されている。
中国の生産活動は予想外の縮小に転じ、散発的な新型コロナウイルスの拡大による人流の制限や、中国不動産セクターの信頼失墜による不動産販売の減少も続き、景気回復の脆弱が浮き彫りとなった。
中国本土の新規感染者は31日には277人と2日ぶりに減少した。ピークの1,000人超から落ち着きをみせている。
マカオについては市中陽性者が9日間連続ゼロ人と、減少傾向が維持されているが、突発的な発生による制限が危惧される風潮が続いていることも、株式市場にはネガティブに働くものと考えられる。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>
Wells Global Asset Management Limited, CEO最高経営責任者
国際金融ストラテジスト <在香港>
京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)
シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004年末に東京三菱銀行(現:MUFG 銀行)に移籍し、リテール部門のマーケティング責任者、2009年からはアジアでのウエルスマネージメント事業を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。その後、独立して、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence(限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。
2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得して、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。(香港SFC CE No. BIS009)
世界の投資機会や投資戦略、資産防衛にも精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。
● 個人公式サイト
「HASEKENHK.com」(https://hasekenhk.com/)
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連載国際金融ストラテジスト長谷川建一の「香港・中国市場Daily」