都会のなかでも「いい土地・悪い土地」の差は激しい
「都会なら、土地の値段はどこでも変わらないのでは?」
と思われがちですが、じつはそうではありません。
同じ都会であっても、たとえば、
「ここの街の、この交差点から外れた瞬間に、もう買う人がいなくなる」
といったことは普通に起きています。「買う人がいなくなる」というのは、もちろん「価値がゼロ」という意味ではありません。
土地の評価をする有名な指標のひとつに、「路線価」というものがあります。「この道路に面した土地は、これだけの評価をします」というものです。
たとえば、路線価による評価が同じ900万円という別々の道路があった場合、その評価額で取引が成立する土地と、その額では取引が成立しない土地に分かれてしまいます。
つまり、
「この交差点までは路線価で動くけれど、それより下に行けば、その金額では動かない」
ということになります。これが、売れる土地と売れない土地の差になってきます。
都会の地主は値段を下げないため、余計売れない状態に
都会の地主であればあるほど、
「900万円と評価されているのに、それ以下の値段で売るなんてあり得ない」
と思っています。900万円を500万円に下げれば売れるのに、下げないためになかなか売れないという現象が起きるのです。
もっと柔軟に考えて、
「900万円で売れないから、800万円ならどうだろう?」
と下げていけば、絶対にどこかの値段では売れるでしょう。
もっとも、評価額通りの値段で動かない、金額を下げなければ売れないとなれば、「悪い土地」ということになります。最終的に建物を解体するかどうかを判断するときに、いい土地であれば解体しなくても、高値で売れることがあります。
一方で、悪い土地であれば、解体しても値段を下げなければ売れないのです。
いまわたしが持っている名古屋市中区の大須というエリアの戸建ては、買った金額以上で確実に売れるでしょう。大須エリアでは、あまり出物がなく、築50年以上の3階建ての戸建てが5000万円以上で取引されています。むしろ、中区大須の地域内では、新築のほうが安いという現象が起きているほどです。
反対に、中心部を外れれば、値段を下げなければ売れないという現象も起こっています。
とくに都市部は、売り主の要求も厳しくなりがちです。売り主が、「評価額=売値」と思っているからです。
たとえるなら、有名なエナジードリンクが約210円から絶対に値段を下げないようなものです。下げればもっとたくさんの人が買うのに、下げません。エナジードリンクはそれなりに売れてはいますが、土地に関しては下げなければ売れない状態になってしまいます。
同じ都会、同じ地域であっても、土地の値段には格差があります。そして、その格差も広がっていることを、認識しましょう。
永野 彰一
投資家 実業家
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