「もしも」の出費のために年間実収入の5%を確保
ここで、収支計画書にない出費もあるはずだと思う人もいるのではないでしょうか。
収支計画書にない出費とはどんなものでしょうか。築10年以内に発生するかもしれない想定外のコストを考えてみましょう。
●建物のメンテナンス費用
アパートは入居者から毎月家賃のほかに管理費をもらいます。この管理費は共用部分の清掃や修繕など定期的に行う管理への出費にあてられる、いわゆるランニングコストです。
しかしアパートのメンテナンス費用には、このような日々行う管理業務以外にもかかるものがあります。
たとえば外装の塗り直しや防水工事です。このような工事は、美観維持や雨漏りの対策として10年に1度行うことが推奨されています。そのため、不動産業界内では、年間実収入の5%をプールしておくべきといわれています。300万円なら15万円です。
新築アパートならメンテナンス費用発生の可能性は低い
しかし最近の塗料や外壁材は非常に性能がよく、たとえば外壁の塗装は、雨水が当たることで汚れがきれいに落ちるセルフクリーニング機能がついたものが主流です。これにより、長期間美観が保たれ、劣化もしにくいので、その分の修繕費用は圧縮できます。
さらに2009年より住宅瑕疵担保履行法が施行されました。これは住宅やアパートを供給する建築会社に対して、柱など構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分の欠陥に対する補修が、建築後10年間は確実に行われるよう、保険や供託を義務付けるものです。建築会社がたとえ倒産しても保険金が支払われる仕組みになっています。
簡単に言えば、すべての新築アパートは10年間の無料保証がついているのです。10年間の建物のメンテナンス費用は、ほとんど考慮しなくていいでしょう。
その先はトイレやユニットバスなどの設備類の不具合が考えられますが、その都度修理すれば大きな出費にはつながらないはずです。実際に私の会社でも築20年前後の物件を複数管理していますが、築20年程度で設備を丸ごと交換するような事例は過去にありません。
ただし、万が一のことも考えられるので普段の生活はサラリーだけで賄い、年間実収入はできる限り手を付けずに、万が一のための資金としてプールしておけば、万全と言えます。