「償却資産」となるのは建物だけ
さらに言えばアパート経営は、実際は8000万円すべての借入ととらえるべきではありません。まず8000万円を使って購入する土地は、アパートなどの建物は「償却資産」であるのに対し、通常「非償却資産」と言います。
前者は時間が経つごとに資産価値が減少していくのに対し、土地は老朽化などで価値が下がらないことを意味します。特にバブルが崩壊して数十年後の現在、東京圏の地価はほぼ安定しています。この先東京オリンピックなどを控え、仮に上がることはあっても下がることは考えづらいでしょう。さらに人気の高い立地であれば、いざ売却しようと考えた時にもすぐに買い手が見つかるでしょう。
この考えはとても重要です。たとえば前出の事例に使った物件であれば、4400万円の土地代は、購入後も価値が減ることがありません。確かに8000万円を融資により調達しましたが、そのうち4400万円は資金が土地へ変わっただけなのです。
つまり、実質的な借入額は3600万円とも考えられます。この実質的な負債と言える3600万円を返済するまでがマイナス、それ以降はすべて新たに資産として増えていくのです。
木造アパート投資だから実現できる「攻めの経営」
では建物は、価値がなくなっていくばかりの資産でしかないのでしょうか?これも違います。確かに住宅で言えば、木造建築自体は約25年で価値がなくなる、つまり査定価格ゼロといわれています。しかし、アパートなど収益物件は、数十年にわたって家賃という利益を生み、適切なメンテナンスや改修などをすることで、さらに経済的な耐用年数は伸びます。
たとえば例に挙げた城東エリアの物件の場合は、家賃と共益費の総額が年間約712.8万円。そこから管理費や税金などの経費約79.4万円を差し引くと約633万円です。建物価格5000万円を年間収入633万円で割れば約7.9となります。
これは要するに、年間収益が建物価格に対する負債を8年弱で回収してしまうので、そこから先は実質無借金経営のようなものです(利益をすべて返済に回した場合)。
仮にRCのマンションなどのように建物価格が高コストの場合、この回収までの期間は当然伸びます。それだけでもアパート経営はマンション経営などよりもメリットがあることはおわかりいただけるでしょう。
負債が減れば、返済利子が減りますから、支払利息コストは減り、利益が増えます。コストを低く抑えたままアパート経営をし続ければ、その後は利益が最大化されますから、メンテナンスを加えながら数十年とコツコツ稼いでももちろん正解です。
しかし、さらに一歩進んだアパート経営があります。たとえばこの時点でまた建物を建て替える。場所を変える。もう一棟建てる。ここにRCマンションなどと比べたときのアパート経営の最大のメリットがあります。
これは攻めの経営です。アパートを1棟建てて終わりではなく、それを元手にまた新たなアパート経営へと投資する。こうした攻めの経営は、負債が減るからこそ、さらに新たな投資が可能になるわけです。このあたりは次回以降でじっくりと紹介していきましょう。