香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。
外国人投資家の中国国債保有が5ヵ月連続減少
外国人投資家の中国国債の保有が5ヵ月連続の減少となったと、Bloomberg が伝えた。米国の金利上昇から中国国債の魅力が相対的に低下している事が主因と考えられる。
中国10年債利回りは、今年4月に米国10年債利回りを下回っている。中国人民銀行が発表したデータでも、海外投資家の中国国債保有は6月時点で、約2兆3,000億元(3,400億米ドル)と、5月時点の2兆3,800億元から減少した。
また、外国勢による中国国債売り越しは5ヵ月連続となった。
20日、中国人民銀行は政策金利となる最優遇貸出金利の据え置きを決定した。人民銀行としては、物価に上昇圧力がかかる中で、積極的な金融緩和姿勢を示すことには、抵抗感があるものと考えられる。
今後も欧米が積極的な金融引き締めの措置をとる中で、中国当局は景気減速リスクから、金融緩和政策を維持する可能性が高い。金利差からは、外国人投資家の中国国債売りや、為替相場での一段の元安が、リスクとなる可能性に注目したい。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>
Wells Global Asset Management Limited, CEO最高経営責任者
国際金融ストラテジスト <在香港>
京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)
シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004年末に東京三菱銀行(現:MUFG 銀行)に移籍し、リテール部門のマーケティング責任者、2009年からはアジアでのウエルスマネージメント事業を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。その後、独立して、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence(限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。
2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得して、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。(香港SFC CE No. BIS009)
世界の投資機会や投資戦略、資産防衛にも精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。
● 個人公式サイト
「HASEKENHK.com」(https://hasekenhk.com/)
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