(※写真はイメージです/PIXTA)

商品やサービスを一般消費者に向けて提供する「B to C(Business to Consumer)」企業と異なり、法人に向けて事業を行う「B to B(Business to Business)」企業は、マスコミへの営業が有利ではありません。日本経済新聞の記者から「B to B」企業広報に転身した日高広太郎氏の著書『BtoB広報 最強の攻略術』(すばる舎)で効果的な戦略を解説します。

しっかりした記者やメディアはお金ではなく、面白いネタを求めています。逆に「ネタよりもお金がほしい」「お金を払わなければ記事を書かない」などというメディアや記者とは、私はお付き合いしないようにしています。きちんとしたメディアや記者に利益を提供する手段は、お金ではなく、面白いネタのはずです。

 

このため、広報担当者としては、「つまらないネタはアレンジして面白く」「アレンジできないほどつまらないネタは、自分が社内を説得してそもそも記者に売り込まない」ようにする必要があります。これにより、自分や自社だけが利益を得るのではなく、相手も利益を得ることができるからです。いわゆるウィンウィンの関係が信頼関係の基本だということです。

 

もちろん、「理をもって説く」ことも大事です。しかし、理論や理屈だけでは人はなかなか動きません。議論になって相手を論破したとしても、わだかまりが残る場合もあります。残るのは自己満足だけで、互いの人間関係にとってはマイナスにしかなりません。自分だけではなく、相手にとっても利益があることが、人を動かす大きな材料になるはずです。

 

私は営業などほかの業務の担当者についても、「自分さえ良ければ良い」というやり方をする人は、一流ではないと思っています。こうした人は仮に一時的に成功したとしても、長続きはしませんし、周囲からも嫌われるでしょう。このため私は、こうした方とは距離を置くようにしています。

 

広報担当者にも同じことが言えます。特に記者は、相手の態度や言葉に敏感に反応しますので、「記者を利用するだけ利用してやろう」という人を見抜いて嫌います。もちろん信頼関係など期待できなくなります。記者とウィンウィンの関係を作れるかどうかが、優秀な広報担当者のバロメーターであり、企業とメディアが持続的な信頼関係を作るためのポイントです。

 

ただし、相手に利益があるという説明をする際の態度には注意する必要があります。

 

広報担当者が「記者側だけにメリットがある」と過度に主張すると、「押しつけがましい」「親切の押し売り」などと相手を不快にさせかねないからです。このため、私は「記者にも利益があるが、自分にも利益がある。掲載していただけるようであれば、本当にありがたい」と自分の感謝を同時に伝えるようにしています。「記者にもメリットがあるが、自分にもメリットがある」と記者に伝え、感謝の態度を示すことで、相手の負担にならないようにしているわけです。
 

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BtoB広報 最強の攻略術

BtoB広報 最強の攻略術

日高 広太郎

すばる舎

日本経済新聞社のエース記者として活躍し、東証一部上場の「BtoB企業」の広報担当役員に転身、年間のメディア掲載数を就任前の80倍以上に増やした広報のプロフェッショナルである著者。現在は独立し、広報コンサルティング会社…

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