(※写真はイメージです/PIXTA)

商品やサービスを一般消費者に向けて提供する「B to C(Business to Consumer)」企業と異なり、法人に向けて事業を行う「B to B(Business to Business)」企業は、マスコミへの営業が有利ではありません。日本経済新聞の記者から「B to B」企業広報に転身した日高広太郎氏の著書『BtoB広報 最強の攻略術』(すばる舎)で効果的な戦略を解説します。

メディア別のネタづくり(テレビ編)BtoCはやや有利

テレビは一般の方々に最も大きな影響力を持つメディアの一つです。特にNHKは視聴者が多い上に信頼性が最も高いメディアの一つで、報道番組も比較的多いため、取り上げてもらいたいという企業の広報担当者は多いのではないでしょうか。

 

とはいえ、テレビは放送時間に制限があります。新聞と違ってドラマやバラエティー、スポーツ中継など報道以外の番組が大半を占めますから、わずかな報道番組の時間の取り合いになってしまいます。時間に制約があるために、多くの時間は国内外の政治経済の大ニュースで占められてしまいますので、企業ニュース、それもBtoBや中小企業のニュースが入り込む隙間は極めて小さいのが現状です。

 

もう一つの難しい問題は視聴率です。民放の場合は広告主が高い視聴率を求めますので、報道機関であるメディアとしての使命と、視聴率獲得の板挟みになりがちです。テレビ局に勤める私の友人の一人が、かつて「経済ニュースになると、とたんに視聴率が落ちるから、経済部の記者はなかなか認めてもらえない」と私に愚痴をこぼしていたのをよく覚えています。

 

テレビ番組への出演を目指す企業の広報担当者は、こうした状況を理解した上でネタづくりを考える必要があります。理解のない会社の場合、テレビに簡単に取り上げてもらえると勘違いしていることもありますが、広報担当者は経営者や社員にテレビがどんなものかということをしっかり説明し、理解してもらうことが必要です。

 

テレビの場合、視聴率が大事とお伝えしましたが、これは広告主のいないNHKも含めてすべての局に言えることです。ただ、これを逆手に取れば、BtoC企業の場合はBtoB企業に比べると取り上げてもらえる可能性が高いでしょう。テレビの視聴者はほとんど個人ですから、個人に直接提供する新サービスや新商品などを、積極的にテレビ局のプロデューサーなど関係者に売り込んでいくことが近道です。

 

とはいえ、漠然と「新商品を出したからテレビで取り上げてほしい」とお願いしても、出演はおぼつきません。テレビ局の番組は広告ではありません。その商品がどんな内容で、消費者や社会にどんな貢献ができるのかを明確に説明しなければ、テレビ局も取り上げにくいのです。

 

BtoB企業の場合は、BtoC企業に比べてテレビ番組で取り上げてもらうのは難しくなります。私の実感では、新聞や雑誌と比べても、テレビではBtoC企業との格差が大きいようです。新聞の場合は経済ニュースを好んで読みたい、情報を得たいという人が多くいるのに対して、テレビの視聴者は子どもなど若年層も多く含んでいます。

 

私の友人が漏らしたように、なじみのないBtoB企業のニュースへの需要はどうしても少なくなります。視聴率が取れないとなれば、スポンサーがつかなくなりますから、取り上げられる可能性が低いのも納得できます。

次ページ「テレビ人脈皆無」の状態から…筆者の実体験
BtoB広報 最強の攻略術

BtoB広報 最強の攻略術

日高 広太郎

すばる舎

日本経済新聞社のエース記者として活躍し、東証一部上場の「BtoB企業」の広報担当役員に転身、年間のメディア掲載数を就任前の80倍以上に増やした広報のプロフェッショナルである著者。現在は独立し、広報コンサルティング会社…

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