(※写真はイメージです/PIXTA)

粘り強く努力していれば、よほどの集団でない限り、その中で上位5%に入ることも夢ではありません。つまり、子どもがへこたれないように働きかける、いわば「環境づくり」が、親が果たすべき大事な役割の一つだということでしょうか。歯科医師の成田信一氏が著書『自分で考え、やり抜く子の育て方』(プレジデント社)で解説します。

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親がすべきことは「環境」づくり

親がやってはいけないのは「子どもにあれこれと干渉すること」だということは、ご理解いただけたと思います。ここからは、親として「やるべきこと」についてまとめていきたいと思います。

 

■「やり抜く力」をつけさせる

 

親がすべきこととしてまず挙げたいのは、子どもに「やり抜く力」をつけさせる、ということです。これは「我慢」させることにも通じます。

 

物事に我慢強く、粘り強く取り組むことは、大人でもなかなかできないと思いますが、その結果何ごとかを成し遂げられれば達成感が得られます。それは本人にとってうれしいのはもちろん、自信にもつながり、次のチャレンジにも前向きになれます。

 

いわゆる「成功体験」を重ねていくことができるのです。このサイクルが、子どもを伸ばす秘訣だと思いますし、子どもにそうさせるように仕向ける技術が親には必要です。ここでまた、わが家の事例を紹介したいと思います。

 

わが家では、私と子どもたちとで、皇居周辺のランニングを続けています。

 

週に1回、皇居の周囲、約5キロを走るのです。普通、「5キロ走ろう」と言われれば、多くの人は「ええ?」と、尻込みしてしまうのではないでしょうか。

 

しかし、うちの子たちは、小さい頃から週1回、5キロを走っているので、耐性がついています。「10キロ走れ」と言っても、慣れているので、「いいよ」と軽く言います。

 

こうして基準を上げていくということは、親の努力として大事だろうと思っています。

 

「基準を上げていく」というのは、その子の力を引き上げていくということです。そのためには小さな成功体験を積ませていくことが大切ですが、その前提として、ある一つのこと(基準)を「やり抜く」ことが必要になります。一つのことをやり抜くことができなければ、次のレベルには進めないからです。

 

一つひとつをやり抜くにあたって、禁物なのは「無理」という言葉です。

 

たとえば先に挙げたランニングでも、「5キロ走ろう」と言った時、「無理」と言う子がほとんどでしょう。前述の通りうちの子たちは走りますが、もし「無理」などと言ったら、私は「無理とは言うな」と叱りつけます。

 

この「無理とは言うな」ということが、私が子どもたちに言い続けていることの一つです。

 

「無理」ではなく「難しい」ならオーケーです。

 

なぜ「無理」はダメで「難しい」ならオーケーなのか。これには、私が師と仰ぐ方から「簡単なことはすぐできる。難しいことは時間がかかる」と言われたことが背景にあります。

 

「簡単なこと」は文字通り簡単に、すぐにできますが、「難しいこと」はすぐにはできず、時間がかかります。時間がかかりますが、逆にいえば、「時間をかければできる」わけです。

 

「時間をかければできる」ことなのに、「無理」と言ってしまえば、それは「できない」ことになってしまいます。

 

次ページ子どもの世話をしすぎるのが現代の親

※本連載は成田信一氏の著書『自分で考え、やり抜く子の育て方』(プレジデント社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

自分で考え、やり抜く子の育て方

自分で考え、やり抜く子の育て方

成田 信一

プレジデント社

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