業界紙に掲載されたネタは再生産されるケースも
もう一つの理由は、記者が記事ネタを探す際に、必ずほかのメディアの記事を検索するからです。検索の方法は、多くのメディアの過去記事を調べられる「日経テレコン」などのツールを使うことです。「日経テレコンを最も利用しているのは日経新聞の記者だ」という笑い話があるほどで、記者は毎日のように、こうした検索ツールやインターネットなどで自分の担当企業の関連記事を検索しています。
全国紙の記者の場合、週末紙面を埋めるための出番原稿を出稿する際には、業界紙などに出ている記事を検索することもよくあります。これはある意味では、記事が足りない時に紙面を埋めるための裏ワザです。業界紙は全国紙に比べれば発行部数が少なく、読者が限られます。仮に同じネタでも、追加取材して内容を洗練させれば、多くの人たちにとっては新しいニュースになる場合があります。
デスクや部長もすべての業界紙に目を通しているわけではありませんから、社内でも業界紙に掲載されているネタを追加取材していると気づく人はほとんどいません。業界紙の記事を追加取材しているうちに、さらに新しいニュースが見つかって、特ダネにつながるケースもないわけではありません。
もちろん、全国紙の記者がいつもこうしたことをやっているわけではありませんが、決して珍しい話ではありません。業界紙やネットメディアを含めて、あらゆる情報を集めるのは良い記者の条件の一つでもあります。広報担当者としては、こうした記者の行動を逆手に取って、大きなメディアに記事を掲載してもらえるチャンスを増やせるわけです。