会社譲渡契約の不履行として解約・損害賠償を請求できる条件とは?【弁護士が解説】 (画像はイメージです/PIXTA)

近年、後継者不足や経営戦略により、中小企業などでも事業譲渡がさかんに行われています。しかし契約や手続きの複雑さ、税金や多額の資金を要することからスムーズに進められない懸念もあります。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、会社譲渡の不履行について齋藤亮弁護士に解説していただきました。

会社譲渡契約を締結した買主が不履行を繰り返し…

法人の売主である相談者のGGGさん(仮名)は、会社譲渡契約を締結した買主による返済の滞納などについて悩んでいました。買主は履行内容である金融機関等の債務、諸々の賃貸契約における代表者変更、連帯保証人引継ぎを「〇日までに行う」と約束し、それを履行せず催促と履行の約束を繰り返していました。3ヵ月が過ぎた時点でも、金融機関等の返済の滞納、代表者変更等の手続き不備書類の未提出、連絡不通などが発生している状態です。

 

金融機関から「次の返済が滞ると、あなた個人の信用保証にも影響が出てきます」と連絡がきてしまったため、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

 

(1)個人の信用保証に影響を受けることに対する損害賠償を求められるのか

 

(2)譲渡契約の不履行と判断し解約し、その損害賠償等ができるのか
 

契約の不履行に対しては損害賠償請求や契約解除で対応

契約における義務を相手方が履行しない場合、催促して履行を請求しても応じないのであれば、相手方の不履行によって受けた損害の賠償を請求する対応や、契約を解除して自分も契約上の義務から解放される対応が考えられます。

まず、損害賠償請求をするには、①契約上の義務(債務)がありその不履行があること、②その不履行によって損害が生じたこと、③不履行と損害の間に相当因果関係があること、が必要です。なお、この場合でも、④履行しないことについて相手方(債務者)の責めに帰することができない事由があることを債務者側が立証できたときは、損害賠償請求は認められません。

 

法人を譲渡する契約はその法人の株式を譲渡する契約によって行うことが通常ですが、今回のように、同時に会社代表者や会社の借入債務等の連帯保証人も引き継ぐ(変更する)ということは多くあります。そして、今回は、①会社譲渡契約が締結されており、その契約上の義務となっている対応に不履行があるということです。

 

ただし、譲渡対象の会社が金融機関の債務を返済しないことで、連帯保証人のままになっているGGGさんの「個人の信用保証に影響を受けること」について、具体的にどのような損害が生じているといえるでしょうか。

 

例えば、GGGさんの信用情報に連帯保証人としての保証債務を果たしていないことが記録されたとして、将来できたはずの信用取引ができなくなったなどの損害の発生や、因果関係が認められるかというとハードルは高いように思われます。

 

一方で、GGGさんが、金融機関から連帯保証人としての保証債務の履行を求められて支払いをしたといった場合は、譲渡対象の会社に求償を求めることはもちろん、金銭の支払という明確な損害が発生していますので、会社譲渡契約上の義務に不履行がある相手方に損害賠償請求することができそうです。

 

次に、契約の解除は、今回のご相談の場合、①契約上の義務(債務)がありその不履行があって、②相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がない場合に、相手方の解除の意思表示をすることで行いますが、③その期間を経過した時における義務の不履行が軽微であるときは、解除が認められません。なお、損害賠償請求と異なり、相手方(債務者)の責めに帰すことができる事由が要件となっていないことが、改正民法における契約解除の特徴です。

 

今回のご相談では、①会社譲渡契約上の履行すべき内容となっている義務が行われておらず、不履行があり、②すでに催促を繰り返しているということで催告はされているようです。一方で、③不履行が軽微か否かという点については、会社譲渡の対価の支払いが履行されているのであれば、議論の余地がありそうです。

 

ただ、金融機関に対する保証債務の引継ぎ(連帯保証人の交代)という事項は、その経済的影響が相当大きいでしょうから、会社譲渡契約においては軽微な義務の不履行には当たらず、会社譲渡契約の解除は可能ではないかと思われます。また、契約を解除し契約関係がなくなった状態でも、不履行によって損害が生じており、相手方の責めに帰することができない事由が無い場合には、損害賠償請求することができます。

 

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    横浜市の関内駅・日本大通り駅そばの法律事務所にて、中小企業法務、法人・個人の倒産・再生、債権回収、相続、離婚案件を中心に手掛けています。どんなことでも相談しやすい「かかりつけ弁護士」で在ろうと、紛争化した場合のみならず、取引実態に適した契約書、法人ごとの特徴に応じた社内規程、遺言者の遺志と相続人の受け止め方を調整する遺言書の作成など、リスクを低減し将来の紛争を回避する予防法務にも注力しています。

    https://utops-law.jp/

    〈ココナラ法律相談の掲載ページ〉
    https://legal.coconala.com/lawyers/3625

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