(画像はイメージです/PIXTA)

近年、後継者不足や経営戦略により、中小企業などでも事業譲渡がさかんに行われています。しかし契約や手続きの複雑さ、税金や多額の資金を要することからスムーズに進められない懸念もあります。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、会社譲渡の不履行について齋藤亮弁護士に解説していただきました。

リスク軽減に。詳細な契約の取り決めと関係者対応を

法人譲渡契約をその法人の株式を譲渡する契約で行う場合、その要素となるのは「株式譲渡」と株式の「対価の支払」です。

 

しかし、今回のご相談のように、連帯保証債務の引継ぎ(なお、借入だけでなく、賃貸借契約やリース契約でも代表者が連帯保証人となっていることは珍しくありませんので注意が必要です。)といった対応も、売主が代表者として連帯保証人になっている場合では非常に重要であり、契約書上に明記し、引継ぎへの協力を相手方の義務にしておく必要があります。通常は、連帯保証人の変更(解除)に買主が協力する義務や、株式譲渡以降に保証債務の履行請求を受けたら買主で対応する旨を規定しておきます。

 

ポイントは、今回のように履行されなかった場合にどのような対応ができるのかまで含めて契約条項に盛り込んでおくことです。契約上、買主がこの協力義務を果たさなかったとして、前述のとおりその不履行が軽微であり解除できないのではないかという問題が生じるリスクはあります。

 

しかし、契約上、この協力義務の不履行や連帯保証人の引継ぎができない場合には解除できる旨を明確に定めておくことでそのリスクを排除できるのです。解除の他にも、損害賠償請求や金銭的な補償を求めることができること、具体的な損害額の算定が難しい前述のような場合には、損害額の予定まで契約上定めるという備えもできます。

 

また、保証の引継ぎや賃貸借契約の書き換えなどは、これらの契約相手の同意も得られなければ実現できません。そのため、法人譲渡契約を締結し代表者も変更するに際しては、その履行を確保するためにも、法人の契約相手等の関係者に対して、事前了解を取り付けておくなどの十分な根回しをしておくということも必要になります。

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