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仕事に口を出さない妻が「そろそろ事業を譲ったら?」
普段は仕事に口を挟まない奥様が、突然こんなことを言い出して、その社長は一瞬頭に血がのぼりそうになったといいます。「あなたも、そろそろ会社を息子に任せてはいかがでしょう?」……コロナ不況で経営は行き詰まり、社長ご自身も迷いが生じてきたところです。
その胸の内を見透かされたようで、「事業には口を出すな!」と声を荒げようとしたとき、奥様がおずおずと口を開きました。「これからは、あなたの経営の知識と経験を私たち夫婦の老後に活かしてくれませんか」。そして、奥様が口にしたのは、「在職老齢年金」のことでした。
現代は、「年齢七掛け説」も唱えられているように、実年齢×7割が実感年齢といわれます。65歳なら45.5歳、70歳なら49歳……40代といえば現役バリバリです。こうした時代を鑑み、高年齢者雇用安定法が改正され、令和3(2021)年4月1日から施行されています。
この法改正で、事業主には「70歳までの定年引き上げ」「定年制の廃止」などの努力義務が求められるようになりました。これと足並みを揃えるように、令和4(2022)年4月から年金制度も改正。そのうちの1つ、「在職老齢年金制度」も見直しされたのです。
これまでの「在職老齢年金制度」では、65歳未満で給与から得る月額報酬+老齢厚生年金の基本月額が28万円を超える場合、年金額の全部または一部が受け取れなくなりました。この28万円の限度額が見直され、65歳未満も65歳以上同様、47万円となりました。
いずれにせよ、高給な場合が多い経営トップなら、給与月額と年金の基本月額を合算すると、47万円を上回るケースも少なくないでしょう。「人生100年時代」といわれる長い老後を見据えたとき、年金を減額されても給与を得て働くか、少しでも多く年金を得るか……。
誰しも何歳まで生きるのか、何歳でこの世を去るのかなんて予測できませんし、考えたくもないと思うかもしれません。しかし、やがては誰しもそのときがやってきます。