個人単位で把握すべきポイント
⑥意思決定者
前段で触れたように先方の実質的な意思決定者が誰になるのかは重要なファクター です。
またその人物の人となり、社内で置かれている立場もきちんと把握する必要があります。交渉前にどうしても情報がない場合は、交渉の過程で意識して聞き出していきましょう。交渉の初期段階で顔合わせができればそれに越したことはありません。
⑦交渉担当者
先方の交渉担当者の人となり、意思決定者との関係性、どの範囲までの権限を任されていそうなのかもわかる範囲で把握しておきたいところです。
また、その人物が社内で置かれている立場、性格、心理状態もある程度把握できれば、交渉の過程で相手の反応を予想するのに役立つものです。
これも交渉前に情報が足りない場合は、交渉の過程で意識して聞き出していきましょう。
事前の情報収集が交渉決裂を遠ざける
以上ですが、上記のような情報を交渉前にすべて把握するのは難しいかもしれません。
そういう場合は足りていない情報を整理しておき、交渉の初期段階で聞き出していくか、第三者から情報収集しておくのをお勧めします。
交渉が難しくなってきたときに突破口となるヒントは大体このような情報の中に潜んでいるものだからです。
私が見てきた限りでは、この事前の情報収集が不十分で交渉に入ってしまい、その後も相手から聞き出そうともしていない人が多いように思います。
その結果交渉が暗礁に乗り上げた時にどうしていいのかわからなくなるのです。最悪交渉は決裂してしまいます。
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松永 隆
1983年 一橋大学法学部卒業。住友商事㈱に20年間勤務。中国、米国、カナダにて海外勤務を経験。帰国後、夢であったサッカー界に転職することを決意。
2004年 公益財団法人日本サッカー協会(JFA)に入局。以後国際部部長、国際部担当部長として勤務。2020年 退職後もJFA国際部コンサルタントとしてサッカー界に関わり続ける。2021年 広島経済大学 経営学部スポーツ経営学科教授 JFA公認C級ライセンスコーチ、合気道初段