ビジネスの現場で幾度となく行われている交渉。不利な条件を飲まされることなく、また円滑な交渉を行うために必要となる「交渉前の準備」のポイントについてご紹介します。

デキるビジネスマンが「交渉前の準備」を重視するワケ

交渉前の準備の重要性

日々私の職場で見ていると、取引先となんとなく交渉を始めてしまう人が少なからずいます。その結果交渉の途中で相手に追い詰められ、自分で解決策を見出せずに相談に来るケースがよくありました。明らかな準備不足です。

 

この章では交渉前の準備でつぶしておくべき要素を一つひとつ解説していきますが、如何に準備が大切か認識して頂ければと思います。準備の優劣で交渉で得られる結果は既に決まっていると言っても過言ではありません。十分な準備なしに良い結果は得られないのです。

 

適切な交渉相手は事業の「エンジン」となっている人物

よくあることですが交渉相手が適切でないことで時間を無駄にしてしまうことがあります。具体的にどういう事象なのでしょうか?

 

相手先とある事業を協力してやろうと交渉が始まり、こちらからきちんと条件を提示しているのに待てど暮らせど返事が来ない場合がその予兆です。返事をプッシュすると「これからボスと相談するので待ってほしい」とのこと。「わかった。それでは今週末までに返事が欲しいのでよろしく」と言い残し、待っていてもまた返事なし。翌週またコンタクトするとボスが出張に行ってしまったのでまだ返事ができないとの反応。

 

この時点で疑わないといけないのは、この担当者がその事業を協力してやろうと言っているものの、そのことが実はその上司あるいは組織としてまだ認められていないのではないかということです。この時点でかなりの時間と手間を無駄にしてしまっています。組織対組織の交渉の場合、先方の組織の中で実質的決定権をもった人物と交渉するのがベストです。

 

ここで注意すべきは「実質的」の意味です。必ずしも職掌的に決裁権を持っている人物という意味ではなく、ある程度の権限を持たされて、その事業の中心にいて推進している人物であればいいわけです。

 

つまりその事業のエンジンになっている人物と言えばわかりやすいでしょうか? 交渉を始める前にそのエンジンたる人物がわかっているのがベストです。相手先と既にお付き合いがある場合は比較的容易にそれがわかるはずなので、確かめておくことが大事です。

 

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本記事は、松永隆氏の書籍『ビジネスパーソンのための超実践的交渉術 日本人の交渉のやり方』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、編集したものです。

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