(※写真はイメージです/PIXTA)

仕事の進め方を転職先の会社の文化に合わせ、相手に配慮するようになってからは何事も上手く回るようになってきました。すると将来に向けて何をするべきか考える余裕も出てきました。セカンドキャリアコンサルタントの高橋伸典氏が著書『退職後の不安を取り除く 定年1年目の教科書』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

人から学ぶためには「謙虚」な姿勢

私はパン作りの経験はまったくなく、しかも不器用なので、技術のいらない力仕事をやるつもりでした。しかし初日からいきなりパンの形を作ることになったのです。すぐに覚えられない私に、毎回ベテランの職人さんから怒鳴り声が絶えません。

 

背中で技術を覚えてきた職人さんから見ると、サラリーマン根性が抜けない甘ちゃんの私が歯がゆかったと思います。

 

わからないことは聞くしかありません。ベテランの職人さんや20歳ぐらいの職人さんにも頭を下げながら教えてもらい、一つひとつ覚えていきました。

 

その甲斐もあって、怒鳴り声もしだいに消え、徐々に頼りにされるまでになりました。それまで1年近くかかりました、

 

▶「定年活動」の特集でテレビに出演!

このアルバイト経験から、知らないことは年齢を問わず頭を下げて教えてもらうことや、それを愚直に続けるうちに信頼関係ができてくることを改めて実感しました。

 

実はこのアルバイトをしたことで、面白い定年活動をしていると注目され、TBSテレビ『ビビット』の取材を受け、「定活」特集で放映していただけることになったのです。

 

このパンのアルバイトをさせてもらったキッカケも、ご縁のような流れがありました。採用の募集を見つけパン屋さんの人事に連絡したところ、複数の店舗があるのですが、自宅に近い店で、とりあえず面接をしてもらえることになりました。

 

行くと店の製造責任者のベテラン職人さんによる面接が待っていましたが、経験もないシニアの私を採用したくない態度が前面に現れていました。しかし私が志望動機として、定年になり、このままでいけない、新しいキャリアを自ら作るためにチャレンジしたいという思いを熱く語ると、職人さんの目が変わりました。

 

「実は自分も長年やってきたパン作りのキャリアを変えようと思っている、君もそうなんだな」と態度に変化が見えました。

 

パン作りの経験を問われたので「何も経験はないですが、シングルファーザーとして料理をやってきました」と言ってところ、なんとその方も境遇が同じだったようで、偶然が重なりました。すると「わかった、では来週から来てもらうから」と突然採用に切り替わったのです。

 

やはり物事が上手く運ぶきっかけになるのは、人との出会いだと実感します。そのためには常にこれでいいのかと反省し、人に対して素直でいることがその基盤になると、経験を通して教えてもらいました。

 

ポイント
・ 副業のように普段と違う環境で働くことで、新しい経験ができ、視野が広がる。
・人から学ぶためには「謙虚」な姿勢が何より大切。

 

髙橋 伸典
セカンドキャリアコンサルタント

 

 

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※本連載は、髙橋伸典氏の著書『退職後の不安を取り除く 定年1年目の教科書』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

退職後の不安を取り除く 定年1年目の教科書

退職後の不安を取り除く 定年1年目の教科書

髙橋 伸典

日本能率協会マネジメントセンター

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