(※写真はイメージです/PIXTA)

商品やサービスを一般消費者に向けて提供する「B to C(Business to Consumer)」企業と異なり、法人に向けて事業を行う「B to B(Business to Business)」企業は、マスコミへの営業が有利ではありません。日本経済新聞の記者から、「B to B」企業広報に転身した日高広太郎氏の著書『BtoB広報 最強の攻略術』(すばる舎)で効果的な戦略を解説します。

成功のカギは「相手の立場に立って考えられるか」

代表電話から、なかなか記者につないでもらえないので、私は「自分にも非があるのではないか」「やり方を間違えているのではないか」と反省してみました。思い返してみると、私は電話をつないでもらおうとする際に、「新しく広報部長になったので挨拶をしたい」と説明していました。

 

しかし、新聞社などメディアにとっては、新任の広報部長などはごまんといます。毎日の取材や記事の執筆などに忙しい中で、親しい間柄ならいざ知らず、聞いたこともない企業の広報部長の新任挨拶などは、記者にとっては煩わしいだけですよね。

 

私は記者だったにもかかわらず、「記者の立場に立って考える」ことを忘れ、自分の都合だけを相手に押しつけていたのです。

 

このため、「自分が記者の立場だったらどうか」ということを何よりも優先して考えることにしました。自分が記者であれば、ほしいものは何よりも面白い記事ネタです。そこで私は、まずは記事ネタを作って、「こんなネタがありますのでつないでください」とお願いすることにしました。

 

代表の受付の方も、「ネタがあるのであれば、記者側にもメリットがあるからつないであげたほうが良いのではないか」「つながないと、かえって怒られるかもしれない」などと思ってくれるのかもしれません。実際に、この方式を採用してからは、つないでくれることが格段に増えました。

 

記者に電話をつないでさえもらえば、あとは自分の経歴を話したり、どんなネタを提供できるのかを説明したりしているうちに、打ち解け合える人が見つかるものです。私はこれまでの経験を通して、大半の記者の方々は「こちらが誠実に対応し、ちゃんと話せばわかってくれる」と思っています。

 

「相手の立場に立って考える」「相手を思いやる」というのは、家族や友人などプライベートでは多くの人が気にしていることでしょう。ところが仕事になると、とたんに自分が成果を上げることばかりを考えてしまい、メディアに自分の都合を押しつけるということはないでしょうか。

 

広報活動がうまくいかない、と感じている方は、広報担当になったばかりのころの私のように「自分の仕事が独りよがりになっていないか」「相手の立場で物事を考えているか」を、改めて考えてみると良いと思います。

 

自分では「私に限って、自分の都合を押しつけることなんて絶対ない」などと思っていても、外部の人から見ると、その人の言い分は独りよがりだったという事象はよくあることです。私の場合も、自分のことを客観視して行動を変えたことが、はじめて携わった広報という仕事を前に進めるきっかけとなりました。

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BtoB広報 最強の攻略術

BtoB広報 最強の攻略術

日高 広太郎

すばる舎

日本経済新聞社のエース記者として活躍し、東証一部上場の「BtoB企業」の広報担当役員に転身、年間のメディア掲載数を就任前の80倍以上に増やした広報のプロフェッショナルである著者。現在は独立し、広報コンサルティング会社…

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