多忙な医師にとって株式投資は不向き
単なる資産運用であれば、別に不動産でなくとも、株などで運用すればいい、と考える人も多いかもしれません。今はアベノミクス効果で円安・株高の傾向にあります。上手く投資を行えば儲かることでしょう。しかし、それは、すでに「既存のルール」という病に侵されているということかもしれません。
確かに、資産運用というと、まず思い浮かぶのが不動産と株式投資です。実際に、株式投資を行っているという医師も少なくないでしょう。筆者が資産運用のアドバイスをしている医師の多くも、不動産と同時に株式も所有しています。ただ、資産運用という面では、私は株式よりも不動産の方が医師に向いていると考えます。
株式投資のメリットのひとつが、短期間で換金できるという流動性の高さにあります。オープンなマーケットで日々売買されている株式は、時々刻々と価格が変動し、値動きにあわせてすぐに利益を確定することができます。しかし、株式市場は誰にでもオープンになっている以上、そこでのプレーヤーは、皆同じ条件で戦わなくてはなりません。
そこではせっかくの「医師」という肩書きは全く無意味になります。さらに、株式売買によって利益をあげるためには常に変動を続けるマーケットを注視し、先を読み、タイミングよく売買を行う必要があります。
また、日々激しい変化を繰り返しているビジネスについては、やはりビジネスマンのほうが精通しているのは当然のことでしょう。他人の生命を預かり、多忙な日々を送る医師にとって、株式投資はなかなか難しい資産運用の方法であるといえるのではないでしょうか。
不動産は流動性が低く、開業場所の確保にもなる
一方、不動産は換金までに最低でも数週間、場合によっては数カ月間かかることがあります。その分、価格も数カ月、数年という単位でしか変動しません。一般に、医師の中でも特に時間に余裕がないといわれている勤務医と兼業しながら運用益をあげられるという意味で、この流動性の低さこそがメリットであると考えられます。
さらに、医師が医師として働くためには、病院や医院などの「場所」が必要不可欠です。つまり、医師が不動産を所有するということは、将来的な開業に向けた場所をあらかじめ確保しておくという意味でもベストな資産運用というわけです。
「医師」という肩書きと「不動産」という場所が少しずつリンクしてきました。医師だからこそ可能で、医師だからこそ意味のある不動産投資。次回からは、そんな医師のための不動産投資について見ていくことにしましょう。