銀行は融資に値する「プラス材料」を探している
銀行などから融資を受けるとなると、どうしても貸し手はシビアに査定するものだと考えてしまいがちです。
ところが、金融機関の融資担当者からすればお金を貸したいのが実情です。まず最初に事前審査として申請書を提出し、その後に面談してヒアリングなどが行われるわけですが、これらは決して基準に満たない借り手を切り捨てるというものではなく、融資に値するプラス材料を探しているだけのことなのです。
不動産購入時のローンは、マイホーム購入時の住宅ローンに近い「アパートローン」と、事業者向けの「プロパーローン」があります。資産形成のための不動産投資において一般的なのは「アパートローン」です。
この場合、個人属性と物件評価額がそれぞれ基準をクリアする必要があります。個人属性のランクの最上位にくるのが、医師、弁護士、会計士、税理士などの師士業。職業に加えて、年齢や収入、金融資産、居住地エリアなどが判断の基準になります。これに、後述する物件評価額、借入条件などを加えて総合的に判断します。
一方、もうひとつの「プロパーローン」は不動産事業者に対して融資を行うローンなので、不動産事業としての実績、会社の業績などが評価されます。
物件評価額とは、販売価格とは異なる銀行から見た物件価格です。仮に返済が滞った場合、銀行は物件を売却して資金を回収します。そのため、物件を売却した時の金額で回収できる分までしか融資しません。逆にいえば、銀行の物件評価法がわかれば、融資を受けられる金額も見えてくるというわけです。
積算評価と収益評価を元に融資金額は決定される
銀行の物件評価には「積算評価法」と「収益評価法」のふたつがあり、このふたつを組み合わせて物件に対していくら融資するかという「融資評価額」を決定するのです。
【積算評価法】
積算評価法は土地の価格と建物の現在価格を算出し、その合計額の70%程度を融資評価額とする方法。土地評価額は路線価に土地面積を掛けて算出されます。
もうひとつの建物評価額は、再調達価格に建延面積と法定耐用年数から築年数を引いたものを掛け、法定耐用年数で割ったもの。再調達価格は建築方法によって各銀行であらかじめ決まっています。たとえばRCなら20万円、鉄骨は18万円、木造は16万円程度が目安となります。
【収益評価法】
もうひとつの収益評価法は、収益物件からのキャッシュフローを借入れ返済原資とし、融資金額を決定する方法。家賃収入に空室率を掛けた金額から、経費、固定資産税、銀行返済額などを引いて算出します。この場合、利回りが低い物件だと融資を受けることができません。
積算評価と収益評価をそれぞれ算出したうえで比較し、評価の低いほうで融資金額が決定されるのです。