(※写真はイメージです/PIXTA)

経営を継続していくには、時代や成長ステージに合わせた人員や設備への新たな投資が欠かせません。世間から必要とされるビジネスを提供し続けるとともに、金融機関からも「融資をしたい」と言われる会社であり続けるためには、何が大事なのか。資金調達アドバイザーの田原広一氏が、会社を経営しつつさまざまな会社の融資サポートをしてきた観点から、社長が心得るべきポイントについて解説していきます。

「融資をしたい」と言われる会社であり続けるために…

■ポイント:売上・利益を上げるための“仮説”を基に「行動計画」を立てる

融資のキモとなるのは、創業融資においては、「自己資金+経験値+信用情報」、そのあとは先手必勝で借りられるときになるべく多く借り、「資金調達→投資→売上・利益アップ」のサイクルを回していくことがさらなる好循環を生み出すことになります。

 

そこで欠かせないポイントが「計画性」です。

 

「斬新なアイデアを思いついたので、起業したい」「セミナーで聞いたこのビジネスモデルなら、絶対に成功するはず」私のもとには少なからずこうした山っ気のある相談がもち込まれます。

 

しかし、残念ながら、ぱっと浮かんだアイデアや第三者の言うことをうのみにしたビジネスモデルで成功するほど世のなかは甘くありません。

 

もし、「思いつきで行動してみたらたまたま成功した」というケースがあるとしたら、それは一握りの天才によるものか、たまたま運が良かったかのいずれかでしょう。私がこれまで見てきたケースを考えても、一時期はうまくいっても、そのまま10~20年と生き延びることは難しいといわざるを得ません。

PDCAを高速で回し、行動計画を常に見直す

少し話は変わりますが、私自身、税理士資格を取るために勉強を続け、資格の学校で講師をしていた経験からいって、学生時代のテスト程度ならば、行き当たりばったりの一夜漬けでなんとかなっても、一生のキャリアがかかった国家資格の試験で“たまたま受かる”ということはあり得ません。

 

「いつまでに資格を取って、実務経験を経て、30歳までに独立する」と決めたら、そこから逆算して、計画性をもって勉強をしていかない限り、資格取得は遠い道のりになります。税理士事務所に勤めながら、資格取得を目指す方も大勢いますが、仕事と勉強の両立は予想以上に難しいものです。

 

また、資格が取れたとしても、独立し、さらに成功するとなるとよほどの強い意志と計画性がなければなし得ないものでしょう。

 

特に資格が必要でないビジネスでも、基本は同じです。「飲食で独立する」と考えたならば、その数年前から成功している店で修業をし、ノウハウを盗む。店舗の設備資金として、お金を貯める。融資を受けるために、各種支払いをしっかりとし、信用情報をキレイにしておくなどの順を追った備えが肝心です。

 

こうした「行動計画」、自分なりのいわば“カリキュラム”をつくり、しっかりと実践できるかどうかがビジネスの成功を左右します。

 

さらに、ビジネスと机上の勉強が違うところは、“正解”が分からないということです。よって、常に自分なりに“仮説”を立て、一度立てた行動計画を常に見直すことも大事な作業となります。

 

仮説のもと、計画を立て、行動し、その効果・成果を検証し、次に活かしていく。いわゆるPDCAを、変化の早い時代にあっては高速で回し続け、ビジネスの最適化を図っていかねばなりません。

 

私の会社でも、融資サポートのほか、補助金サポートやビジネスマッチング、ウェブサイト制作やマーケティング支援に加え、コロナ禍ではシェアオフィス運営に乗り出すなど、時代のニーズに合った新たなチャレンジをし続けています。

 

仮説のもと新たな投資をし続けるのは、リスクテイクにつながる行為のようでいて、「この事業がダメになったら、こちらを主軸にしよう」といった、リスクを分散させる意味合いもあります。

 

複数の金融機関から融資を受け続けることも同じです。借入先の選択肢を増やすことで、スピード感をもって「借りられるときに、借りられる金融機関から、借りられるだけ借りる」ことが倒産リスクを大きく減らすことにつながるのです。

 

 

田原 広一

株式会社SoLabo 代表取締役

 

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※本連載は、田原広一氏の著書『賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

増補改訂版 独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣

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田原 広一

幻冬舎メディアコンサルティング

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