返済不要!事業者がフル活用すべき「補助金・助成金」はこれだけある【資金調達アドバイザーが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載では主に金融機関からの融資について解説してきましたが、手元資金を増やす方法は融資だけではありません。近年は政府や自治体などが実施する補助金や助成金の制度が充実してきています。資金調達アドバイザーの田原広一氏が、使わない手はない補助金・助成金について解説します。

「補助金」と「助成金」の違いは?

補助金と助成金の最大のメリットは、返済の必要がないことです。その分、金額の規模は小さくなりますが、お金がもらえるのですから経営者にとっては非常にありがたい仕組みです。

 

補助金も助成金も返済の必要のない点は共通していますが、補助金は主に経済産業省が、助成金は厚生労働省が管掌しているという違いがあります。

 

経済産業省の目標とする姿の一つに、既存の企業が成長したり、有望な企業が新たに生まれたりすることで日本経済が活性化し、結果的に法人税収が増える、ということがあります。彼らが支給する補助金の財源も法人税であるため、基本的にはこれまで法人税を払っていた企業や、将来法人税を納付してくれそうな有望な企業や起業家に対して、給付という形でサポートするのです。

 

そのため、経済産業省とその外局である中小企業庁が管轄する補助金は、一時的に落ち込んだ事業を回復させたり、成長させたりすることで将来的より多くの法人税を払ってもらえることにつながる取り組みに対して支払われるという性格があります。

 

近年の規模の大きい補助金としては、新分野への転換や新規事業など思い切った事業再構築に対して給付される「事業再構築補助金」や、サービス業の事業者が生産性を高めるためにITツールを導入した際に補助を受けられる「IT導入補助金」などがあります。

 

一方、主に厚生労働省が管掌する助成金は、雇用の安定を主な目的としており、財源は雇用保険です。雇用保険はその名のとおり雇用を守るための仕組みで、失業した人や出産・介護で一時的に働けない人などに給付をしています。

 

このため、厚生労働省が管轄する助成金は、今ある雇用を守ったり、新規で人を雇用したりするなどした場合に給付されるものが多くなります。雇用が増えれば雇用保険料収入が増え、失業給付の削減も期待できるので、こうした結果をもたらす取り組みに対して支払われるわけです。

 

このような性格から、補助金についてはその申請の内容が企業に成長をもたらすものかどうかについて厳しい審査が行われる傾向がありますが、助成金については定められた要件を満たして雇用が増えたり守られたりしていれば給付を受けられるものがほとんどです。

 

いずれにしても、返済の必要がない給付なので、もらえるものはもらう、利用できるものは利用し、戦略的に資金を調達していくべきです。

返済不要で給付を受けられるものはこれだけある

ちなみに私の会社でも、創業以来以下の補助金、助成金の給付を受けています。総額では1500万円程度です。最も大きいのは事業再構築補助金で、コロナ禍での新規事業としてスタートしたコワーキングスペース事業に対して約570万円の給付を受けることができました。なかには10万円程度のものもありますが、返済不要でこれだけの給付を受けられたのはありがたいことです。

 

<補助金>

●事業再構築補助金

●小規模事業者持続化補助金

 

<助成金>

●キャリアアップ助成金

●事業継続緊急対策(テレワーク)助成金

●キャリア形成助成金

●人材開発支援助成金

●両立支援等助成金

●働き方改革宣言奨励金

●千代田区事業者による災害用備蓄物資購入助成

ただし、補助金や助成金を前提にした事業・支出はNG

補助金や助成金の申請を考える際に注意してほしいのは、給付を受けることを前提にして事業や支出を考えてはいけないということです。

 

給付されるのは、あくまでかかった費用の一部であり全額ではありません。例えば、事業再構築補助金であれば、補助率は再構築にかかった費用の最大で3分の2、IT導入補助金であれば2分の1です。要は給付を受けられたとしても、かなりの持ち出しはあるのです。

 

しかも、補助金が実際に支給されるまでには数ヵ月から1年程度の時間がかかるので、いったんは全額を支出する必要があり、その間の資金繰りは圧迫されることになります。

 

もともと新規事業に挑戦しようと考えていた事業者が、事業再構築補助金を申請するのはいいのですが、「補助金があるから何かやってみよう」とか、「補助金がもらえるから何かツールを導入しよう」というのでは、結果的に自己負担分が無駄遣いになるケースも多いのです。

 

補助金狙いでさほど必要としていなかった支出をしてしまうことで、結果的に資金繰りが苦しくなってしまっては、元も子もありません。しかも、補助金は審査が厳しいので、採択されなければ1円も入ってこないリスクもあります。

 

助成金も同様です。助成金は要件を満たしていれば、申請しても給付されないというリスクは小さいですが、後払いである点は補助金と同じです。新しく従業員を雇用しても、最初の給与に間に合うタイミングで給付を受けられるものではないので、当てにし過ぎるのは禁物なのです。

 

もともと実行すると決めていた投資を、補助金の対象になるよう多少ストーリーを色付けするぐらいならいいのですが、無理やり給付を取りにいっても結局は無駄遣いになってしまうというケースを私は数多く見てきました。これは「半額」の札が付いているからと不要なものを買って、結局使わずに捨ててしまうようなものなのです。

 

補助金や助成金は、支給されるかされないかにかかわらず、支出すると決めている費用に対して申請します。資金調達の本命はあくまで融資であり、補助金や助成金は支給を受けられれば御の字、程度の気持ちで当てにし過ぎないことが重要です。

補助金・助成金の制度は「常に3000程度」実施中

補助金や助成金は、政府だけでなく、自治体や商工会などでも独自の制度を行っており、少額のものも含めると常時3000程度の制度が走っているといわれています。事業再構築補助金やIT導入補助金のように規模の大きいものは情報も入ってきやすいのですが、そうではないものは積極的に情報を取りにいかないと、得られたはずの給付を逃すことになってしまいます。

 

なんらかの投資や支出を検討する際には、ネット検索をして使える補助金や助成金がないかを調べることをお勧めします。政府の補助金であれば経済産業省と中小企業庁の「ミラサポplus」というサイトで、中小企業向け補助金情報を一覧することが可能です。

 

自治体などの公募を含めた補助金情報を網羅しているサイトもありますが、補助金はとにかく数が多く、終了するものもあれば新しいものもどんどん登場しています。専用サイトでも網羅しきれていない可能性が十分あるので、ピンポイントで検索してみましょう。

 

東京都中央区で事業を営んでいるのであれば、「東京都補助金」「中央区補助金」などという検索ワードで調べてみます。「A商店街補助金」「B商工会議所補助金」など、地域の商店街や商工会などの名前と一緒に検索しても、オトク情報を得られる場合があります。

 

あるいは、普段からこうした情報を発信している専門家のSNSをフォローしておくのもお勧めです。

 

ただし、制度によっては申請に必要な書類が多かったり、手続きが煩雑だったりする場合もあります。手が回らない場合は、補助金や助成金の申請を代行する業者の利用を検討してもいいと思います。補助金の場合は申請しても通らない可能性がありますが、期待薄であれば引き受けないという業者も多いので相談してみる価値はあります。着手金が必要なく請求するのは成功報酬のみという代行業者もあるので、損をしたくないならこうした業者を選ぶべきです。

 

代行業者はネット検索で探すのが基本です。その際は、会社の実態があって、経営者の名前と顔がはっきり分かる業者が安心です。広告を出しているような企業は代行ビジネスに力を入れている証拠ですし、広告を出せば顧客は来るので実績もそれなりに積み上がっているはずです。

 

ただし、あまり少額の補助金だと、代行業者にメリットが小さいので引き受けてもらえない可能性もあります。こうした場合は自力で申請するしかありません。

 

 

田原 広一

株式会社SoLabo 代表取締役

 

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    株式会社SoLabo 代表取締役 税理士有資格者

    平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。

    平成24年8月以降、副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。

    平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。お客様の融資支援実績は、累計4,500件以上(2021年7月末現在)。

    自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。実体験を踏まえたアドバイスは多くの起業家から支持されている。

    著者紹介

    連載独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣

    ※本連載は、田原広一氏の著書『賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    増補改訂版 独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣

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    田原 広一

    幻冬舎メディアコンサルティング

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