(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の心配ごととして考えている費用は、集約すると「介護のお金」と「医療のお金」の2つです。老後を、少しでも安心して迎えるには、イザという時のための介護と医療の基本的なことを今から学んでおくと安心かもしれません。経済ジャーナリストの荻原博子氏が著書『知らないとヤバい老後のお金戦略50』(祥伝社)で解説します。

「高額介護サービス費」で介護費用の不安解消

■「介護保険」で損をしない!

 

老後の介護では、「介護保険」が大きな役割を果たします。

 

誰もが安い料金で介護サービスを受けられるようにと、介護保険が2000年にスタートしたというのは前述の通りです。

 

要支援1〜2、要介護1~5と介護の状況によって7段階あり、サービスが使える限度額は、介護状況が厳しくなるほど段階的に引き上げられていきます。

 

たとえば、寝たきりで食事や排泄などを自分でできない「要介護5」だと、支援限度額は1ヵ月36万2170円(2019年10月1日以降)。この場合、1割負担なら月3万6217円を自己負担すれば、約36万円の限度額の範囲内で目いっぱいサービスを受けることができます。

 

では、現役並みの収入があるので3割負担の人なら、3倍の月10万8651円払うのかといえば、そうではありません。

 

「介護保険」には、かかったお金が一定額を超えたら、超えた額を返してくれる「高額介護サービス費」という制度があるからです。

 

■「高額介護サービス費」で過払い金が戻ってくる

 

たとえば、要介護5でも年収700万円ほどで現役並みの収入があるというAさんの場合、3割負担だと月10万8651円になるはずですが、「高額介護サービス費」を申請すれば、4万4400円で済みます。

 

つまり、それ以上は支払わなくてもよいのです。もしそれよりたくさん支払っていた場合でも、請求すれば払い過ぎのお金を戻してもらえるということになります。

 

「高額介護サービス費」の上限は、77ページの表のように年収によって違います。年収が高い人ほど、たくさん負担する仕組みになっています。多くの高齢者の方は、そんなには稼いでいないと思うので、心配しなくていいでしょう。

 

■合算することでよりおトクになる

 

「高額介護サービス費」は、同じ世帯であれば合算できます。

 

夫婦2人とも介護状態だというような場合、2人合わせた介護費用の上限が、「高額介護サービス費」の上限になります。

 

前述のAさんの場合、本人も妻も要介護5で、妻も現役並みの収入があったとしたら、3割負担で月10万8651円×2人で月に21万7302円になるかというとそうではなく、世帯合算できるので、ふたり合わせて4万4400円となり、払い過ぎていたらそのぶんを返してもらえます。

 

さらに、1年間に、介護費用だけでなく医療費もかかったので自己負担が上がってしまったという時はどうでしょうか。この場合、医療費と介護費用を合わせて「高額介護合算療養費」という制度を使うと、さらに安くなるケースがあります。

 

※厚生労働省資料より作成
ポイント
一般的な所得の負担限度額は4万4400円
高所得者世帯について、負担限度額の見直しがあった(令和3年8月~)
※厚生労働省資料より作成

 

荻原 博子
経済ジャーナリスト

 

 

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本連載は荻原博子氏の著書『知らないとヤバい老後のお金戦略50』(祥伝社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

知らないとヤバい老後のお金戦略50

知らないとヤバい老後のお金戦略50

荻原 博子

祥伝社

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