(※写真はイメージです/PIXTA)

「高齢者雇用安定法」が改定され、努力義務ですが、2021年4月から、本人が望めば70歳まで会社が雇用することになりました。これは、年金の支給年齢を70歳まで引き上げる布石です。経済ジャーナリストの荻原博子氏が著書『知らないとヤバい老後のお金戦略50』(祥伝社)で解説します。

定年延長!70歳まで会社で働くということ

みなさんは、何歳まで元気で働けますか?

 

日本人の平均寿命は、男性81.64歳、女性87.74歳。ですが、健康で活動できる「健康寿命」は、男性72.68歳、女性75.38歳。

 

そのあいだ、働かずに遊んで暮らせるという人は、ほとんどいないのではないでしょうか。

 

しかも、50代のみなさんが老後に突入する頃には、年金は「70歳支給」になっている可能性がかなり高いのです。

 

だとしたら、誰もが、何らかのかたちで収入を確保していくことが必要です。

 

■60歳を過ぎると賃金は大幅ダウン

 

50代のみなさんは、希望すれば今の会社で70歳まで雇ってもらうことができるようになるでしょう。

 

なぜなら、高齢者雇用安定法が改定され、努力義務ではありますが、2021年4月からは、本人が望めば70歳まで会社が雇用することになったからです。

 

これは、年金の支給年齢を70歳まで引き上げるにあたっての布石と考えられますから、「年金70歳支給」が本決まりになれば、現在の70歳まで雇う努力義務は義務に変わり、希望すれば誰もが、今の会社で70歳まで働けるようになると思います。

 

現在、社員が望めば65歳までの雇用が義務化され、企業によっては70歳まで働けるところもあります。けれど問題は、法律に賃金の規定がないこと。

 

今でも60歳を過ぎると賃金がガクンと下がる企業は多いですが、それがさらに低くなる可能性があるということです。

 

国税庁の「民間給与実態統計調査」(2020年)を見ると、男性の場合、55歳から59歳までの平均給与は年686万円ですが、60歳から64歳は、522万円と2割ほど給料は減っています。

 

さらに、65歳から69歳は、406万円と、60歳から64歳に比べたら約2割減、55歳から59歳に比べると約4割減っています。

 

雇用形態で賃金の違いを見ると、60歳を過ぎると約6割は「嘱託」という扱いになるケースが多いようです。60歳からも「正社員」や「正職員」を続けられる人と、それ以外の嘱託などの扱いになる人の収入を比べると、月給で嘱託などのほうが約3割も安くなっています。

 

確かに、法的にはこの先70歳までは今の会社で働けるようになるかもしれません。

 

けれど、同じ給料、同じ条件で雇ってくれるわけではなく、給料ダウンという厳しい現実があることを知っておいたほうがいいでしょう。

 

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本連載は荻原博子氏の著書『知らないとヤバい老後のお金戦略50』(祥伝社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

知らないとヤバい老後のお金戦略50

知らないとヤバい老後のお金戦略50

荻原 博子

祥伝社

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