香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。
人民銀行は資金供給を連日で拡大
27日、中国人民銀行は7日物リバースレポで、一回のレポとしては過去3ヵ月間で最大規模となる1,000億元(149億5000万ドル)の資金供給を行った。本日レポの満期を迎える100億元を差し引いてネットで900億元の供給となる。
先週から立て続けに資金供給を実施し、規模も600億元/日を上回って拡大し、緩和姿勢を鮮明にした。人民銀は「半期末の流動性を安定的に」維持すると表明したが、それにしては供給量が大きい。中国当局の景気対策推進の前のめりな姿勢も、早期の経済活動正常化を期待させる。
先週のBRICKs会議で、経済成長目標(5.5%成長)の達成にコミットメントすると発言した習近平国家主席だが、その実現性を巡っては見方が分かれている。エコノミストらの中には厳しいコロナ対策が経済成長の足かせになるとの悲観的な見方が目立つ。
中国人民銀行顧問である楊偉民氏は、過去数ヵ月の新型コロナウイルス感染拡大に関連する影響により、5.5%という今年の中国GDP成長率目標は達成が難しくなるとの見方を示した。
しかし、そういう見方が出ても、第二四半期に大幅に落ち込んだ経済を取り戻すために、中国政府は大規模なテコ入れ政策を追加するという期待につながる。期待先行の形で、中国株式市場は4週連続で上昇、外国人からの資金流入も増えている。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>
Wells Global Asset Management Limited, CEO最高経営責任者
国際金融ストラテジスト <在香港>
京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)
シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004年末に東京三菱銀行(現:MUFG 銀行)に移籍し、リテール部門のマーケティング責任者、2009年からはアジアでのウエルスマネージメント事業を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。その後、独立して、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence(限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。
2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得して、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。(香港SFC CE No. BIS009)
世界の投資機会や投資戦略、資産防衛にも精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。
● 個人公式サイト
「HASEKENHK.com」(https://hasekenhk.com/)
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