売却先を急いで決めてはダメ! 常に冷静な対処を
不動産売却は、相続や税金対策などの経済的な事情に伴う急な出来事であったり、あるいは経験のないことでもあるため、焦りや不安をたくさん抱えながら進めていくことになります。
しかし「早く落ちつきたい」「楽になりたい」からといって、急いで売却先を決めないことが肝心です。常に冷静な気持ちで対処する心構えをもっておいてください。
アサミ:そんなこと言われても、初めてのことだらけで分からないし……平常な気持ちを保つことなんてできないよ。
家の精:だから事前に家族会議をしておくことがポイントなんだよ。
相続する不動産があれば、親族間で話し合いをしておく
身内が不動産を所有していれば、いずれ売却する可能性がある。このことを日頃から視野に入れておき、適切なタイミングで話し合いの場を設ける心の準備をしておきましょう。
例えば、将来相続するかもしれない不動産があるのであれば、親族が集まった際などに「いずれ相続したときには、どういうふうにしようか」と話し合っておくようにしましょう。売却する計画を立てるのなら、誰がその役割を担うのかや、お互いどのようにしてサポートし合えるか、それぞれの役割や権限を決めておくのがベターです。
誰か一人に任せると、その人への負担が増えて不満となり、親族の間で亀裂が生じる原因となるかもしれません。もしくは勝手に売却の話を進めてしまったことによって、家族の間で争いに発展することもあるかもしれません。全員で計画を共有し、協力し合って進めていくことを大切にしましょう。
アサミ:私も事前に話し合っておけば、兄さんと揉めることもなかったのかなあ。
家の精:問題に直面してからあたふたするよりは、事前に準備しておくほうが何倍もマシだっただろうな。
さらに事前に準備しておきたいこととして、時間に余裕があるときでいいので、売却予定の不動産の相場をある程度把握しておくといいでしょう。近隣物件のチラシを集めたり、同じような間取りの近隣物件がいくらで売りに出されているかを定期的にチェックしたりしておくと、自分の不動産の適正価値を知る材料となります。
また、できれば家族や知り合いのなかに不動産関係の仕事に就いている、いざというときに相談に乗ってもらえる信頼できそうな人がいないか、見当をつけておくとなお安心です。
こういった準備がしっかりできていると、急に売却の必要性が出ても、慌てることなくスムーズに事を運ぶことができます。
アサミ:気持ち的には確かに安心だけど、例えば相続税の支払い期限が迫っていたりとか、すぐに現金が必要な場合、やっぱり慌てちゃいそう。
家の精:相続は予期せぬ出来事の一つ。みんな「早く現金化しなくちゃ」と慌てるもんだよな。そこが不動産仲介業者の狙い目で、格好のカモとされることもあるんだよなあ。
現金が急に必要な事態でも、広く選択肢を設けて冷静な対処をすることによって、売却を急がずに済みます。
例えば、「不動産を売って現金化しなくちゃ」という視点から「ほかの方法で一時的に現金を手にする方法はないだろうか」と視点を切り替えることができます。具体的には「金融機関から一時的に融資を受けて納税する」「親戚などから借りて納税する」「物納などほかの納税方法がないか税務署に相談する」といった方法が考えられます。
金融機関から借りると利子のリスクは無視できませんが、時間をかけて売却先を見つけることで、高値で売れて利子以上の見返りが得られるケースも考えられます。この辺は不動産の価値と売却プランをしっかりと見極めることができたうえで決断するべきなので、専門家のアドバイスは欠かせません。
露木 裕良
一般社団法人「不動産売却支援ネット」 理事長
「不動産高く売りたい.com」 サイト運営
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