受け入れるのが難しい「子どもの発達障がい」子育てを非難されつづけた母親が思わず涙を流した医師の一言とは

発達障がいが一般的に語られるようになりつつある昨今、子どもの症状を懸念する両親はいかに我が子と向き合うべきなのか。小児科医・鈴木直光氏が診断した症例をもとに解説します。

発達障がいの症状の多くは幼児期早期から現れる

父親が子育てに参加することも最近は多くなってきていますが、日本ではまだまだ子育ては母親がするものという意識が強いようで、お子さんが発達障がいを抱え、何かしらの問題があると、批判の矛先は母親に向かいます。

 

母親が一人で「自分の子育てが間違っていたのか」「子どもにどう接して良いのかわからない」とさんざん悩んだ上にクリニックに相談しにくるケースは非常に多く見受けられます。

 

以前、C君という2歳のお子さんがご両親、そして保健師と一緒にやってきたことがありました。「2歳で?」と驚かれる方もいるでしょうが、私のクリニックでは1歳で自閉スペクトラム症と診断したお子さんもいますし、特別なことではありません。中には、視線が合いづらいため10カ月で相談に来た親御さんもいます。

 

なかなか気がつきにくいですが、発達障がいの症状の多くは3歳以下の幼児期早期から現れているのです。この年代では、市町村の保健センターや保育園から紹介されるケースが多く、C君のように、外来に数名の保健師が同席することもあります。

 

医院の場所が狭いためなのか、患者さんと一緒に来る人数が増えるのを嫌がる小児科医もいるようですが、私のクリニックでは、お子さんに関係している多くの人がいることで正確な情報もより多く入りますし、場所も広いのでさほど問題にはなりません。むしろ大歓迎です。最近は患者さんぬきで別枠で相談しています。

 

小学生よりも小さいお子さんを診る時は、一人では入って来られないので、チャットルーム(談話室/私のクリニックでは診察室)には親御さんと一緒に入ってもらっています。C君も通常と同じようにご両親と一緒に呼びました。

 

ドアが開くと、私には目も触れず一目散にテーブルの上にある自分の好きなミニカーを手に取り、自分の部屋のように遊び始めました。遅れてご両親と保健師が入ってきた時には、すでにミニカーは床に散らかっています。

 

私が「C君、こんにちは」と言っても、こっちを見ようともせず、一心不乱にミニカーで遊んでいます。すると、C君が「あっ、フェアレディーZだ」と言ってパトカーを手に取りました。

 

そのパトカーは確かにフェアレディーZです。おまけに、C君は、「にっさん」と断言しました。完璧です。私が「よく知っているね」と褒めても照れるわけでもなく、振り向きもせず、「あっ、プリウスだ」と次のミニカーを手に取ります。非常にマイペースです。

 

お子さんの行動に対してどうして良いかわからずに、呆然と立ち尽くしている親御さんたちに、私は「C君のお父さんお母さんですね。初めまして、小児科の鈴木です」とここで初めて自己紹介をし、「どうぞソファーにお座りください」と、まず座らせて心を落ち着かせてもらうことにしました。

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本記事は、2018年10月刊行の書籍『発達障がいに困っている人びと』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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