香港のマネロン規制は日本より厳しい!?
前回は、香港で資産運用を行う上で一般的に利用される金融機関の種類について解説しました。取引をする金融機関が決まると次は口座開設となります。最近は口座を開けるだけでも大変、といった話を耳にしますが、これは資金洗浄(マネロン)のリスクと密接に結びついています。
香港は世界有数のオフショア金融センターであり、今後も外に向かって開かれた市場として成長し続けることが見込まれます。こうした香港の金融市場としての特徴は同時にマネロンのリスクにさらされやすい、ことも意味しています。
そうした状況から、香港政府はマネロン防止のための法制を整備し、それらの法令の下に香港金融管理局(HKMA)はマネロンに関する指針(Guideline on Anti-Money Laundering and Counter-Terrorist Financing)を定め、継続的な優先課題として金融機関に対して高いレベルの顧客及び取引審査態勢を整備することを義務付けています。香港のマネロン規制は場合によって日本よりも厳しいと考えられています。
上述のHKMAの指針に基づいて香港の金融機関は大きく分けて、顧客の口座開設にあたっての入り口の審査と、口座を通じた取引を継続的に審査する態勢を整えています。口座開設審査においてはまず顧客の本人確認が行われます。
英語・中国語以外の書類はNGの金融機関も
個人口座の本人確認審査に一般的に必要とされる書類は、香港居住者についてはHong Kong IDと呼ばれる身分証明書、加えて永住者でない場合はパスポート、居住する住所を確認できる書類となります。居住地の確認書類は公共料金領収書や金融機関からの月次報告書といったものがよく使われています。
香港域外に居住の顧客についてはパスポートと居住する住所を確認できる書類が必要となります。香港域外の顧客の居住地確認は運転免許証といったものが使われることがありますが、注意を要する点として、香港の公式言語が英語と中国語であることから、書類の表示言語が英語・中国語以外の場合は然るべき能力をもった者が英語または中国語に翻訳したものが必要となることがあげられます。
こうした外国語の書類の取り扱いは各金融機関によってまちまちで、それらの外国語に対応できる者を従業員として抱える等して外国語の書類を受け付ける金融機関がある一方で、英語・中国語以外の書類は受け付けない金融機関もあります。