織り込み通りなら、米10年金利の「上限」は3.8%程度
先日、米連邦準備制度理事会(FRB)が0.75%の利上げを決定しました。[図表1・2]では、①利上げ決定と同時に出されたFRBによる政策金利の見通しと、②直近の金融市場の利上げ織り込み(フェデラルファンド金利先物)をそれぞれみています。
「年内の利上げ」については、①FRBの場合、7月に0.75%、9月に0.5%、11月に0.25%、12月に0.25%といったスケジュール感になります。その一方で、②金融市場は、7月に0.75%、9月に0.75%、11月に(ほぼ)0.50%、12月に0.25%の利上げを織り込んでいます。
「利上げの打ち止め水準」については「3.8%程度」でほぼ一致しています。他方で、「利下げ開始のタイミング」については、①FRBは「2024年のどこか」で、②金融市場は「来年5月ごろ」と見込んでいます。
必ずしも「利下げ=景気後退」ではないものの、多くの場合においてはそうであり、両者から、いわば「悲観的な見通し」が発せられているわけです。大きな利上げ幅ですから、悲観的になっても不思議ではありません。
これらの情報が正しいと仮定し、米国債利回りの「上限」について考えてみます。
[図表3]のとおり、まず、①利上げ期の2年金利【青色】は、政策金利【灰色】に「タッチしない」ように上昇していき、利上げの打ち止め前後で(利下げを先読みして)政策金利を下回ります。したがって、2年金利の「上限」はおおむね、政策金利の打ち止め水準です。
また、②10年金利【オレンジ色】は、利上げの終了が近づくと(景気後退を織り込んで)「逆イールド」になる(=10年金利の水準は2年金利を下回る)わけですから、10年金利の「上限」もおおむね、政策金利の打ち止め水準と考えられます。
したがって、(現在の織り込みが正しいと仮定すれば)2年金利も10年金利の上限も3.8%程度と考えることができます。10年金利については一度、3.49%まで上昇しているため、上昇余地は限られます。