注意点2「無暗に不貞行為について喋らないこと」
2つ目の注意点「無暗に不貞行為について喋らないこと」についてお話します。
前述のように、妻は不貞行為の証拠を十分に有していない可能性があります。LINEメッセージ内に不貞行為を示すメッセージを確認できない場合には、特にその可能性が高いでしょう。
また、妻が不貞行為を裏付けるメッセージや写真等を一定程度収集できていたとしても、不貞行為の具体的内容が未だ不明確となっている可能性もあります。このような理由から、不貞相手の妻はかなこさんと面会することで、不貞行為の具体的内容に関する供述を引き出したいと考えている可能性があります。
当然、当日は会話を秘密録音がなされている可能性が非常に高いです。面会場所の近くに調査会社の関係者が待機しており、録音を行うケースもあります。
そのため、かなこさんが反省のあまり必要以上に不貞行為に関する供述をしてしまうと、かえって不利な状況に陥るおそれがあります。あくまでも、不貞行為の証明責任は配偶者にあることを留意するべきです。
まずは、不貞相手の妻が、あなたに対して不貞行為を理由とした慰謝料請求をするのであれば、請求する金額を聞いたうえで、この請求の根拠となる不貞行為の具体的な内容やその資料を提示するように求めてください。
あるいは、不貞相手の妻が、あなた宛ての内容証明の文案を持っている場合には、その文案を見せてもらい、不貞行為の具体的な内容を特定できているかを確認しましょう。
仮に、妻が不貞行為の具体的な内容を特定できていない場合には、自ら何かを言及することは避け、相手の言い分や請求内容を聞くだけに留めるように努めてください。安易に不貞行為の存在を認めることは控えるべきでしょう。
注意点3「その場で署名・捺印することを控える」
3つ目の注意点は、「その場で署名・捺印することを控える」です。
直接交渉する場では不貞相手の妻がかなこさんに対して、予め用意してきた合意書や示談書を提示し、署名・捺印を強く求める可能性があります。こうした場面で、「家族に知らせる。」「勤務先に乗り込む。」といった文言で脅され、合意書の内容を十分に精査することなく促されるままに署名・捺印をしてしまうケースも多々あります。
たとえ、強要あるいはこれに近い状況による署名・捺印だとしても、それを立証するのは至難の業です。合意書に署名捺印をしてしまった以上、民事訴訟のルールとして、特段の事情のない限り本人の意思にもとづいて作成されたものと推認され、あなたは合意書の内容に従った支払義務を負うことになります。
こうした不利益を避けるため、決してその場で署名・捺印をすることはせず、持ち帰り検討するよう心がけてください。
もし、不貞相手の妻が強硬な姿勢を崩さないのであれば、早期に弁護士に依頼し、代理人弁護士から妻に対し、かなこさんやその関係者への接触を控えるよう通知をしてもらいましょう。
以上が直接交渉の席に着くにあたり、注意すべき3点です。