人生の最期が無保険に…「ネット保険」のデメリット
その欠点とは、一言でいえば、「男性の平均寿命に達する前に、死亡保障が終わる」という点だ。
どういうことかというと、冒頭のたとえ話のように、せめて平均寿命までは生きて、死亡する時には生命保険のお金を家族に残してやりたいと願っても(その目的で保険に入ったはずです)、ガソリンが途中で切れてしまい、「人生の最期は無保険状態になる可能性が非常に高い」ということなのだ。
「俺が死んだ後は家族が困っても知らないよ」という無責任なお父さんだと思われてもいいなら構いませんが……。
もう一度、日本人の平均寿命と平均余命を思い出していただきたい。
いま「ネット保険」に加入した男性は、加入が何歳であろうと、保障は70歳までしかない。つまり平均寿命の約81歳までしか生きない男性でも、死亡する約10年も前に保障とは「ハイさようなら」していて、1円も保険金を受け取れない状態になるのだ。つまりガス欠で、目的地にはたどり着けなかった訳だ。
「ネット保険」に加入するときには、このことを考えなければならない。
「それなら、収入が低い若い時は『ネット保険』で過ごし、収入が上がってから普通の保険に切りかえればよいのでは?」と考える人もいるだろう。が、これも×だ。
何歳であろうといずれ普通の保険に切り替えるのなら、それは「いま」しかない。一生の間に支払う保険料の計算においては、「ネット保険」に支払っていた保険料が、ムダになってしまう。
「ネット保険」に良質の保険は1つもないと覚えておこう。良い保険は、営業員と対面しての手続きが絶対に必要だ。
「短期間」であれば利用価値あり
では、「ネット保険」には、全く利用価値がないのか、というと、そんなことは絶対にない。
守るべきことは、「ネット保険を一生涯の長期的な保障にするな」ということであって、「3年や5年の短期的」や「ほんの短期間、一過的に」保障を求めるのであれば、保険料の安さを大いに利用すべきだ。
たとえば子供が成長するまで、または事業が安定するまでの10年間とかいうように、短期間の保障を必要とする場合には「ネット保険」が効力を大いに発揮するだろう。一生涯(長期間)の保障にさえしなければ、適材適所で使い道はある。
三田村 京
国際保険総合研究所
所長
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