糖尿病だと「認知症になりやすい」ワケとは?メタボリック症候群の人も要注意【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

近年になって蓄積されてきた前向き調査疫学研究(Prospective Study)で、高齢者糖尿病では認知症の合併が多いことが報告されています。糖尿病と認知症の関係について、最新の知見を基に見ていきましょう。※本稿は、小西統合医療内科院長・小西康弘医師並びに株式会社イームス代表取締役社長・藤井祐介氏との共同執筆によるものです。

「糖尿病患者における認知症」の二大原因

認知症には大きく分けて、2種類あります。まず「脳血管性認知症」は、脳を栄養する血管が動脈硬化になり、血流低下をきたすことで起こります。ラクーナ梗塞というまだら状に脳細胞が壊死をするのを特徴とし、症状的にもまだら状の認知機能低下をきたします。

 

それに対して、もう一つの「アルツハイマー病型認知症」では、血流低下による脳神経細胞の壊死ではなく、アミロイドβの蓄積による壊死が起こっています。

 

最近の『Lancet Neurology』の総説に、図表1のような糖尿病における認知機能障害の発症機構がまとめられています。

 

<文献1>

Biessels GJ, Staekenborg S, Brunner E, Brayne C, Scheltens P. “Risk of dementia in diabetes mellitus: a systematic review,” Lancet Neurol, 2006; 5: 64-74.

 

出所:文献1より改変
[図表1]糖尿病における認知機能障害の発症機構 出所:文献1より改変

 

図表1を見ると、糖尿病患者においては、動脈硬化により脳血管の血流が低下することによる血管性の脳機能低下と、アミロイドβが沈着し、高血糖状態による糖毒性で脳機能低下の要因があり、そのどちらもが、脳機能低下を起こし、認知症の発症リスクを高めるということです。前者が脳血管性認知症の、後者がアルツハイマー型認知症の原因となります。

 

2型糖尿病における認知症の二大原因として、脳血管の動脈硬化とアルツハイマー病があるということが分かっていただけたと思います。糖尿病の患者さんが、どれほど脳血管性認知症(Vascular Dementia:VD)とアルツハイマー病(AD)を合併しやすいのかを示した、合併リスクの研究がいくつか報告されています。それによると、糖尿病の人が脳血管性認知症になるリスクは2.0~3.4倍です。さらに、アルツハイマー型認知症になるリスクは1.2~2.3倍で、いずれも糖尿病のない健常な人と比べて高値です。

医療法人全人会 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医
医学博士

京都大学医学部卒業。天理よろづ相談所病院・京都大学消化器内科などで内科全般を研修し、消化器内科を専門とする。内科医として約20年病院勤務。現在は、小西統合医療内科院長として、機能性医学を柱とした統合医療の立場から診療に携わっている。

【小西統合医療内科HP:https://www.konishi-clinic.com/

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著者紹介

株式会社イームス 代表取締役社長
メタジェニックス株式会社 取締役
株式会社MSS 製品開発最高責任者 

欧米で生化学と栄養学を学び、製品の研究開発並びに医療コンサルティング会社を立ち上げる。

2009年に機能性医学をいち早く日本に紹介し、現在は日本の医療従事者へのソリューション提供や講演活動に従事している。

著者紹介

連載自己治癒力を高めるための機能性医学

自己治癒力を高める医療 実践編

自己治癒力を高める医療 実践編

小西 康弘

創元社

病気や症状は突然現れるのではなく、それまでの過程に、自己治癒力を低下させるさまざまな原因が潜んでいます。だからこそ、対症療法ではなく根本原因にまで遡って治療を行うことが重要なのです。 本書では、全人的な治癒を…

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