(※写真はイメージです/PIXTA)

長生きするには、どうすれば良いのでしょうか? 老化のコントロールは慢性疾患の発症リスクを低減するカギでもあります。今回は主に「センテナリアン(100歳長寿者)」に着目し、長寿の秘訣を探っていきましょう。※本稿は、小西統合医療内科院長・小西康弘医師並びに株式会社イームス代表取締役社長・藤井祐介氏との共同執筆によるものです。

老化は「避けられない運命ではない」と分かってきた

■動物実験レベルでは「延命効果あり」と証明された方法も存在

医学を含めた科学の進歩により、「老化がどうして起こるのか?」という疑問に対しての答えがおぼろげながら見えてきました。その結果、老化とは「人間の運命」のように避けられないものではないことが分かってきました。そして、私たちの身体の中には老化を進まないようにするシステムがあることも明らかになってきました。

 

長寿遺伝子の一つであるサーチュイン遺伝子から作られる「サーチュイン酵素」が、この「身体の老化が進まないようにするシステム」の一翼を担っています。このサーチュイン遺伝子は、ストレス下で生き延びるために発現されます。その働きを高めるためには、身体に適度なストレスを与える必要があります。身体の機能を高める程度のストレスを「ホルミシス」と言います。動物実験では、適切なダイエットや適度な運動、または適度な寒冷刺激を与えることで、寿命が伸びることが明らかになっています

 

あるいは、糖質制限をすることで身体がケトン体を利用できるようになり、研究レベルではアンチエイジング効果があるという報告もあります。しかし、糖質制限自体がまだ新しい療法なので、長期的効果については確実なことが分かっていません。

 

■「ヒトへの有効性」を確かめるには…

では、ヒトの場合はどうなのでしょうか? 動物実験で証明されたことが、そのままヒトにも当てはまるのでしょうか?

 

このことを証明するのは容易ではありません。

 

たとえば、カロリー制限がサーチュイン遺伝子の活性を高めるかどうかは、動物実験であれば、厳密に食事の摂取カロリーをコントロールすることで分かります。しかし、ヒトの場合は摂取カロリーを長年にわたってコントロールすることが困難であることは容易に分かるでしょう。さらに、延命効果があるかどうかを見る場合、マウスやラットなどの動物であれば寿命が長くても数年なので、結果が出るまでに多くの年月を必要としません。しかし、ヒトの場合、平均寿命が70~80年あるので、延命効果があるかどうかを直接的に示すことが極めて困難なのです。

 

動物で分かったことを、ヒトでも当てはまるだろうと仮定しないといけない面が、どうしてもあるのです。ヒトの長寿遺伝子の効果を確かめることの限界であると言えるでしょう。では、私たちは健康に長生きする方法を見つけることはできないのでしょうか?

 

少し見方を変えて、実際に長生きしている人たちの生活実態の中に、長寿のためのヒントを見つけられないでしょうか?

 

今回は、100歳長寿者(センテナリアン)がどうして長生きできるのか、について調べた研究を紹介したいと思います。

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自己治癒力を高める医療 実践編

自己治癒力を高める医療 実践編

小西 康弘

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