(※写真はイメージです/PIXTA)

近年になって蓄積されてきた前向き調査疫学研究(Prospective Study)で、高齢者糖尿病では認知症の合併が多いことが報告されています。糖尿病と認知症の関係について、最新の知見を基に見ていきましょう。※本稿は、小西統合医療内科院長・小西康弘医師並びに株式会社イームス代表取締役社長・藤井祐介氏との共同執筆によるものです。

「糖尿病による認知症リスク」を減らすために…

以上で見てきたように、糖尿病は血糖が高いことによる「糖毒性」以外でも、高インスリン血症を介して、アミロイドβの脳内への沈着を促進し、アルツハイマー病発症のリスクを高くするのです。

 

これらのことから、糖尿病のある人は、アルツハイマー病になるリスクを減らすためにも、糖尿病のコントロールをきっちりと行う必要があります。

 

糖尿病は、初期の段階ではインスリン抵抗性というインスリンの感度が鈍くなって効きが悪くなる状態から発症します。インスリン抵抗性がどうして起こるのかというと、内臓脂肪が蓄積することが原因であることが分かっています。内臓脂肪が蓄積することで、膨大化した脂肪細胞から悪玉のアディポサイトカインという炎症を起こす物質を放出し、インスリン抵抗性を惹起するのです。

 

この内臓脂肪が溜まった状態が「メタボリック症候群」と言われるものです。

 

では、内臓脂肪を溜めないようにするためにはどうすればいいのでしょうか。カロリーを摂り過ぎると余ったカロリーが内臓脂肪として蓄積されるので、一番の基本は適切なカロリー制限をすることです。では、カロリー制限さえしていれば問題ないのかというとそうではありません。同じカロリー制限をしていても、腸内環境の状態によって内臓脂肪がつきやすかったりつきにくかったりするのです。

 

腸内環境をしっかりと整え、リーキーガットが起こらないようにすることが、身体に慢性炎症を起こさないようにするために非常に重要であることを最後に強調したいと思います。

 

 

次回は、このリーキーガット症候群が慢性炎症の原因となり、さまざまな慢性疾患の原因となるということについて話していきましょう。

 

 

小西 康弘

医療法人全人会 小西統合医療内科 院長

総合内科専門医、医学博士

 

藤井 祐介

株式会社イームス 代表取締役社長

メタジェニックス株式会社 取締役

株式会社MSS 製品開発最高責任者

 

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