あらゆる慢性疾患の発症に関わる「リーキーガット」
腸内環境が乱れ、腸管ディスバイオーシスと言われる状態になると、腸管粘膜のバリア機能が低下してきます。さらに、小腸の粘膜が損傷を受けることで「リーキーガット症候群」(以下リーキーガット)という状態を起こします。
リーキーガットを起こすと、身体の中にさまざまな炎症性物質が流入するようになります。さらには腸管免疫のバランスが崩れるために、本来であれば、私たちの身体の栄養になるはずの食物の成分に対してアレルギー反応をきたすようにもなり、さまざまな体調不良や慢性疾患の原因になります。
現代社会で多くを占める慢性疾患の発症要因として、腸管ディスバイオーシスやリーキーガットの有無が大きく関係していることが分かってきました。最近では、慢性疾患で腸内環境やリーキーガットの有無が関係していない疾患はほとんどないとさえ考えられています。
今回は、この腸管ディスバイオーシスやリーキーガットを起こす要因について見ていきましょう。
腸管粘膜を損傷し、リーキーガットを引き起こす因子
①未消化なタンパク質
通常タンパク質は小腸でペプチド、アミノ酸という小さな粒に消化されます。消化機能が低下すると、アミノ酸にまで分解されない未消化のタンパク質がたくさん小腸に流れ込みます。タンパク質はアミノ酸まで分解されるとアレルギー反応を起こすことがないのですが、アミノ酸にまで分解されないタンパク質やペプチドが粘膜固有層にあるリンパ組織を刺激すると、アレルギー反応を起こします。これが遅延型フードアレルギーと言われるものです。
腸管上皮でこのようなアレルギー反応が起こると、腸管粘膜に炎症が起こり、腸管上皮細胞が障害されることがあります。その代表的なものが小麦アレルギーです。小麦は、他の食物性のタンパク質と比較しても消化されにくく、未消化な状態で腸管上皮を刺激しやすいことが分かっています。その結果、小麦による体調不良が起こりやすいのです。これを「グルテン小麦関連障害」という名前で呼ぶことがあります。
消化機能が低下する要因としては、慢性的なストレスやよく噛まずに食べること、不規則な食事などの食習慣があります。