「定期付き終身保険」に待ち受けているワナ
寒い冬は暖かい暖房器具が恋しくなるが、うっかりすると低温やけどをしてしまうことがある。日常の普通のやけどなら、熱いものに瞬間的に触れてやけどになるが、皮膚の表面に水泡ができたりすることはあっても、深い組織部分が破壊されることはない。
ところが低温やけどの場合は、カイロや湯たんぽなどで心地よい暖かさを味わっているうちに、皮膚だけではなく深い組織まで気が付かないうちに低温やけどになってしまう。
何やら前置きが長くなったが、[抱き合わせ保険]の「定期保険特約付終身保険」(以下「定期付き終身保険」と呼ぶ)に加入すると、心地良い湯たんぽを使っていたら全身が低温やけどをするように、立ち直れない悲劇が待っているのだ。
具体的に解説しよう。
今、35歳の男性(何歳で加入しても同じだが、具体的にどのくらいのお金を払うか計算するために)が、日本の代表的な生命保険会社であるA社の、これまた代表的な保険である「商品B」や、さらに最近では「商品C」という保険に、
・60/65歳まで保険料を払う
・死亡保障金額5,000万円(死亡保険金の内訳「終身保険100万円」付「定期保険4,900万円」)
という内容で加入したとする。
この男性は死亡すれば保険金受取人(多分、奥さん)に5,000万円という大金が支払われる。5,000万円の大金があれば、この奥さんは年間200万円ずつ生活費に組み入れても、年間は安泰な暮らしができることになる。人によっては、
「亭主より、こっちのお金の方がありがたい」なんて不届きなことを思うご婦人もいないとは限らない。
だがこの保険の最大の「落とし穴」がポッカリと大きな穴を広げて待ち構えていることに、多くの加入者は気が付かないのだろうか。
「平均寿命」+「平均余命」まで死亡保障を確保すると…
まず第一に、男性の「平均寿命」が何年かを考えていただきたい。
日本の男性の「平均寿命」は87.74年であり(令和2年度)、世界の長寿国のトップクラスだ。「平均寿命」の約87歳まで生きた男性は、そこで映画のスクリーンがフェードアウトして暗くなって一巻の終わりというように、人生がそこで終点になる訳ではない。
87歳まで生きた男性の「平均余命(あと何年生きられるか)」は約6年あり、先ほどの「平均寿命」にそこから生存できる可能性の年月「平均余命」を足すと、実に約93歳までは生きられる可能性があることになる。
この「平均寿命」に「平均余命」を足した年数を、筆者は[保険計算上の安全圏]と呼んでいる。つまり男性の場合は、少なくとも約93歳までは死亡保障を確保した方が、安心度が増す、という考え方だ。
もちろん、これで万全だとは言えない。もっと長生きをする人もいるだろうが、どこかで線引きをしなければならないとしたら、この年齢が妥当だと考えている。
そこで先ほどの「定期付き終身保険」であるが、死亡率の低い若い時は大きな保険金5,000万円という保障額があっても、その大きな死亡保障額は「それからの方が年々死亡に対する危険度が増す」という60/65歳で終わってしまい、それ以降の保障額はわずか100万円になってしまう。
「そんな保険でイイのですか?」と、こういう保険に入っている人達に問いたい。
大きな死亡保障額がこつぜんと消えてしまう60/65歳という年齢は、「平均寿命」の約87歳の約20〜25年以上も手前であり、ここまでは死亡保障を確保したいという[保険計算上の安全圏]の約92歳の約25〜30年以上も手前の年齢だ。
その60/65歳を超えた後の死亡では、保険金100万円しか残されない。遺族にとって、わずか2か月程度の生活費で終わってしまうこの金額は、満足な葬儀代(地域によって異なるが、安い地域は北海道の約186.2万円、高い地域は中部〈山梨・長野・岐阜・静岡・愛知〉の約313万円、全国平均約239万円〈全国葬儀・斎場案内センター調べ〉)にもならない金額だ。
死ぬにも、タダで死ぬ訳にはいかないのに、「定期付き終身保険」に加入している人々は、わずか1〜2か月の生活費どころじゃない、人生最後の葬儀代にも大幅に不足する保険金だ。
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