注意したい生命保険の"ペットネーム"

それはさておき、この環境の中で生命保険を考えるとき、何歳まで生きられるのか、ということを無視して保険に加入するとしたら、それはリッター10キロ走る自動車にガソリンを10リッターしか入れずに、200キロ走れというに等しく、言葉は悪いが「バカ」としか言いようがない。

そんなバカな話がある訳はないじゃないかと、ほとんどの人が思うだろう。しかし実際には全く同じ話が世間中にごろごろ転がっている。それがおそらくあなたの生命保険なのだが、あなたが気が付いていないだけだ。

実例を挙げよう。

あなたが生命保険に加入するときには、死亡した場合の保険金が3,000万円とか5,000万円とかの保障で加入し、それが一生涯続くと思って入ったのだと思う。それだけあれば、妻や子供に対しても、一応の責任を果たした気がするのだろう。

確かに保険証券を見れば、難しいことは抜きにしても、ちゃんと「終身保険」とうたってあるのだから、そう思っても無理はないし、それを信じてしまうのも無理はない。

ところが、ほとんどの生命保険の名称には、

の2つがあって、ややこしいのだ。

たとえばA社の保険に、「商品A」という、A社の代表的な保険がある。

この保険の正式名称は、「定期保険特約付終身保険」という。

「なんたらサポート…うんぬん」は、単なるペットネームで、顧客に好印象を与えたいということから付けた名前に過ぎず、何も保障内容を表している訳ではない。「サポート」という名前が付いていても、この保険に入ったあなたを強くサポートしてくれるのは60歳や65歳までで、その後は放り出される格好になるのだ。

A社のこの保険「定期保険特約付終身保険」が、いわゆる［抱き合わせ保険］の元祖と言ってもよく、○○系の生保各社はこの保険を見本として、続々と［抱き合わせ保険］をソックリまねた保険を売り出し、そして現在に続いているという歴史がある。

さて「定期保険特約付終身保険」という長ったらしい名前の保険は、どういう保険か知っておく必要がある。

それはたとえば「サントリーのお酒」と言っただけでは、それがウイスキーなのかビールなのか焼酎なのかカクテルなのかわからないが、「ウイスキー」と言えば初めて中身（酒の種類）がわかるのと一緒だ。

「定期保険特約付終身保険」とは、簡単にいえば掛け捨ての「定期保険」と、一生涯死亡保障がある「終身保険」を、「付」という文字を糊にしてくっつけた保険ということだ。

［図表2］「定期保険特約付終身保険」のポイント

だからその保障の中身には一生涯保障がある「終身保険」（ただし、ごく少額の）も含まれている。「終身保険」という名前が付いていれば、その保険全体が「終身保障」だと思って、錯覚してしまう人がいてもおかしくない。

ところが一生涯の死亡保障があるのは、この保険のごく一部分だけで、加入者の錯覚が老年期になって、大きな悲劇を呼ぶことになっているのだ。

それがどんな悲劇なのか、このあと「ダメ保険の代表選手「定期保険特約付終身保険」の中身」で、詳しく解説しよう。

はじめて読む方は、きっとビックリしますよ。

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