1,400万円が保険会社のもの…高齢になった夫婦の絶望
65歳になったある日、生命保険会社から一通の手紙が来た。「保険料払い込み終了に伴う保障内容のご案内」という書類に、これからの死亡保障額→終身保険100万円と記されている。
終身保険は5,000万円のはずだけれど、一体これはどういうことなのか? 夫婦で書類を見ていても、さっぱり理解できなかった。
翌日、保険会社に電話して聞いてみると、「「定期付き終身保険」は、100万円の「終身保険」を「主契約」として、そこに「定期保険」4,900万円を(いろいろな特約を組み合わせて)セットした商品なので、特約の期限(満期)が来れば、その後の死亡保障が「終身保険」の100万円だけになるのは、最初からのお約束です」と説明された。
彼は、この保険に入ってから65歳までの30年間、一体いくらA社に支払ったのか計算してみた。この保険と向き合って、初めて計算機に数字を打ち込んだ。
結果はページの計算表にあるように、30年間に合計で、15,223,320円ものお金を、せっせと支払っていたのだ。
彼は自分に腹を立てた。結局、100万円の「終身保険」だけ残って、あとの約1,422万円はA社に献金したことになってしまった。
しかし、保険屋さんに言わせれば、「そのお金で長年5,000万円もの保障をして差し上げたじゃないですか」ということになる。65歳までに早く死なないお前さんが悪いのさ、といわんばかりだ。後悔してもしきれない。悔しくて腹を立てても、苦情の持って行き場がない。
被保険者が保険期間内に死亡すれば「保障があった」ことになるが、死亡しないで保険期間が終了すれば、保障は「なかった」ことに等しい。
結局、「俺がバカだったのか」と諦めるしかなく、夫婦の中まで不穏な空気になってしまった。
これは、他人事じゃないのですよ。あなたも「大きい会社・有名な会社の保険だから」と安心していないで、一度保険証券を出して、計算してみてはいかがだろうか?
三田村 京
国際保険総合研究所
所長
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