ハンセン指数 21,869.05 pt (▲0.66%)
中国本土株指数 7,606.35 pt (▲0.95%)
レッドチップ指数 3,874.08 pt (▲1.42%)
売買代金1,637億0百万HK$(前日1,840億3百万HK$)
香港は感染者数リバウンドにより、飲食関連が下落
香港株式市場は前日にハンセン指数が約2ヵ月ぶりの高値水準をつけたが、米国株式相場が下落したことから、本日は上値が重い展開となった。
中国貿易統計が発表され、輸出の伸びが前月から大幅に上振れたが、反応は限定的であった。香港ハンセン指数は前日比で0.66%安と小反落で取引を終えた。
9日に会見した林鄭・香港行政長官は、中国本土との国境を短期間で再開することは不可能と会見で述べた。香港では新型コロナウイルス感染者が、単日の感染者数は長く続いた200~300人水準から400~500人水準まで上昇しており、リバウンドが発生している。
レストランチェーンや飲食関連の下落が目立ち、火鍋チェーンの海底撈国際HD(6862)と飲料メーカーの華潤ビールHD(0291)が5%安と下げた。
一方、中国主要デジタル銘柄は本日も堅調で、Eコマース大手のアリババ(9988)は前日比2%高、テンセント(700)も前日比プラスで引けた。
中国税関総署が9日発表した5月の貿易統計によると、輸出は前年同月比16.9%増の3082億ドルと前月の3.9%増、市場予想の8.0%増を上回り今年1月以来の高水準となった。輸入は前年同月比4.1%増の2294億ドル、前月の0.0%増、市場予想の2.8%増を上回り、この結果、貿易黒字は787億ドルに膨らんだ。
上海の新型コロナウイルス規制の一部緩和に伴い生産活動が再開し、物流の停滞が解消されたことが背景にあり輸出は増加傾向にあるも、輸入に関しては脆弱な内需が反映され伸び率は限定的だった。後でも記述するが、上海市の一部区域は9日、ロックダウンを再開との報道もあり、6月も都市規制の懸念が続くようだ。
上海・閔行区を再び閉鎖へ
上海市政府は11日午前に閔行区を閉鎖し、新型コロナウイルスの大規模検査を実施すると発表した。6月1日にロックダウンが解除されて以降、大規模な移動制限が講じられる初のケースである。
閔行区の人口は265万人に及ぶ。封鎖されるのは11日午前のみとされているが、検査で陽性者が出れば再び2週間にわたり自宅に閉じ込められる措置もあり得る。経済再開の期待が後退する可能性がある。
8日の中国本土の感染者は164人と3日連続で100人を超えた。内訳はモンゴル自治区の感染者が拡大傾向であり、前日は130人(無症状者含)と全体の8割を占める。ロックダウンが解除となった上海市及び4月下旬から再流行が続く北京市の状況は一旦落ち着いた状況も、軽微なリバウンドが大規模な検査実施になる懸念が続く。
米上場の中国ETF、資金流入が設定来最高
今週の中国本土株は新型コロナウイルスの制限緩和に加え、滴滴の報道を手掛かりに中国政府の1年にわたるハイテク企業締めつけが終了しつつあるとの見方から買い安心感を誘った。
MSCI中国指数は5月につけた安値から20%強戻し、売り込まれていた中国株が回復に向かうとの楽観的な見方が出ていた。IシェアーズMSCI中国ETFは7日、運用資産が約2億7000万ドル増えて、72億ドルに達し、1日の流入額としては2011年の設定以来最大を記録した。
香港・中国本土株ともに指数は2ヵ月ぶりの高値をつけ、景気底打ち観測が相場を支える流れとなっている。今年7-9月の共産党大会を前に、相場が本格的な上昇に転じるか、今回の戻り局面で、高値がどこまで追えるかに注目したい。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>