(画像はイメージです/PIXTA)

資産家の父親が亡くなりました。相続人は長男と長女の2人です。ところが、長男の子どもが父親と養子縁組していたことが判明。長女は自分の相続分が3分の1になることに納得できません。なにか対応策はあるのでしょうか? 高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

養子縁組による節税は、富裕層のよくあるスキーム

今回の問題では節税のために養子縁組がなされています。そもそも養子縁組が節税になるということなどあるのでしょうか? この点から説明をしていきたいと思います。

 

結論からいいますと、養子縁組が節税となる場合があります。

 

相続税には、基礎控除というものがあり、この基礎控除の範囲については相続税がかかりません。相続税の基礎控除は現在、

 

3000万円+(600万円×法定相続人の数)

 

となっています。

 

養子縁組をすると、養親と養子は法律上親子となりますので、養子は法定相続人となり、法定相続人の数が増えることとなります。

 

そこで、節税となるということなのです。

 

本件でいえば、太一さんが元気君と養子縁組をしていなければ基礎控除の額は、

 

3000万円+(600万円×2)=4200万円

 

となります。

 

しかし、元気君と養子縁組をすると、

 

3000万円+(600万円×3)=4800万円

 

となり、基礎控除の額が600万円増えるということとなります。

 

これが「養子縁組を利用した節税」ということとなります。

 

それなら、たくさん養子縁組をしたら、基礎控除もたくさん増えるのではないかと考える方がいるかもしれません。

 

なかなか鋭いですが、法律では、そのようなことを防ぐために、養子縁組によって基礎控除が増えるのは、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までと、制限されています。

 

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