前回は狭い道路に面している土地について考えました。今回は市計画道路予定地の区域内にある土地を見ていきましょう。

制限のかかる「都市計画道路」に注意

自治体のホームページなどでは、その地域の都市計画図を閲覧することができます。都市計画図には、土地の用途地域などさまざまな情報が記載されており、都市計画道路も記載されています。


都市計画道路とは、都市計画法に基づいて、将来、道路を造る場所になっているところです。新たに道路を設置する場所もあれば、狭い道路の幅を広げるケースもあります。


土地が都市計画道路の予定地にかかっている場合には、建築できる建物に制限があります。将来道路にする場合に壊しにくいと支障がありますから「木造等で2階建てまで」に決まっています。この場合、3階建ての家が立ち並ぶ地域でも、都市計画道路の予定地になっていると、3階建てが建てられないので土地の利用に制限を受けることになります。

長期間にわたる「利用制限」の可能性が税額を下げる

都市計画道路はすぐに開通するわけではありません。予算が付くまでに何十年もかかることもあります。その間、ずっと利用に制限がかかったままになるのです。


そこで、評価する土地が都市計画道路の予定地にかかっている場合には、相続税評価額の減額が認められています。減額できる割合は土地の地区区分とその土地の容積率、都市計画道路の予定地になっている部分の面積の割合で決まっています。

 

たとえば、図表1のように土地の面積のうち、30平方メートルが都市計画道路予定地になっていた場合、どうでしょうか。

 

[図表]都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価
[図表1]都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この土地が普通住宅地区で容積率が200%以上であれば、0・97をかけて評価額を計算することになります(図表2参照)。図表1の土地は6000万円が補正前の評価額ですので6000万円×0・97で5820万円となり、180万円の評価減になります。

 

[図表2]都市計画道路予定地の区域内の補正率
[図表2]都市計画道路予定地の区域内の補正率

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[通達]

24―7 都市計画道路予定地の区域内(都市計画法第4条第6項に規定する都市計画施設のうちの道路の予定地の区域内をいう。)となる部分を有する宅地の価額は、その宅地のうちの都市計画道路予定地の区域内となる部分が都市計画道路予定地の区域内となる部分でないものとした場合の価額に、図表27の地区区分、容積率、地積割合の別に応じて定める補正率を乗じて計算した価額によって評価する。

本連載は、2015年7月1日刊行の書籍『相続税から土地を守る生前対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続税から土地を守る生前対策

相続税から土地を守る生前対策

下坂 泰弘

幻冬舎メディアコンサルティング

税制改正により、土地を失うリスクは飛躍的に増大しました。地主の方にとって相続税対策は深刻な問題です。そのため、さまざまな相続税対策をしている方も多いですが、その対策には大きなリスクを伴うものもあります。 相続税…

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