誰にも予想が付かないインフレの未来
5月23日の週は、①インフレ率の鈍化と、②米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨に、A「0.75%」の利上げへの言及がなく、B「多くの参加者は、金融緩和の解除を早めることによって、今年終盤には、委員会が、引き締めの効果と、あとどの程度の政策調整が必要になるかを評価するのによい状況に立てる、と判断した」との文言が「今年後半の利上げ見送りの可能性も含むものである」との見方につながったこともあり、金利が低下し、幅広い資産が上昇しました。
筆者は、「インフレは、今後数ヵ月についても、今後数年についても、誰にもわからない」と考えており、インデックスや成長株式への「投資再開」というよりも、①割安かつ、②業績が伸びそうで、③インフレにも耐性があるセクターを中心に保有を増やすほうが安心と考えています。
2つの物価指数を見ると「インフレはまだわからない」
図表1のとおり、CPIとPCE価格指数の2つのインフレ率(食品とエネルギーを除く)を「前年同月比」で見ると、ここもとインフレ率は鈍化していることがわかります。
しかし、図表2のとおり、2つのインフレ率を「前月比」で見ると、まだ鈍化は確認できません。足元の物価上昇の「勢い」(モメンタム)を見るならば、「前月比」が、より適切な指標と考えられます。
その「前月比」もたとえば、年後半には鈍化していくかもしれませんが、図表3に示すとおり、1970年代のインフレ率は、2度鈍化をしながら、「尻上がり」にインフレ率が上昇しています。
最近のインフレ率を、2パターンで当時に重ねてみたものが、オレンジと水色のラインです。このとおりに行くかどうかはわかりませんが、これは「反例」であり、少なくとも「インフレ鈍化派の主張をうのみにすべきではない」といえるでしょう。
では、不確実性の高い経済情勢の下、どのセクターに投資をするのがよいでしょうか。基本的なデータに基づいて考えてみましょう。