増益率の高いセクター、低いセクター
図表4は、S&P500のセクター別予想増益率です。一番左のS&P500全体と比べると、「エネルギー」、「素材」、「資本財」、「不動産」の増益率が高くなっています(→不動産についても、1株利益で統一しています)。
他方で、「金融」、「生活必需品」、「公益事業」の利益の伸びは低くなっています。後者2つはディフェンシブなセクターゆえ、普段より、大きな増益率は期待されません。
逆にいえば、現在は、景気の勢いが強く(→景気拡大の後半にありがちなこと。それゆえにインフレ率が高い)、景気敏感セクターの増益率も高いため、ディフェンシブ・セクターにシフトするほどの状況ではないということでしょう。
![増益率の高いセクターは「エネルギー」「素材」「資本財」「不動産」。低いセクターは「金融」「生活必需品」「公益事業」](/mwimgs/b/8/500/img_b870aa110634ccab3806f0fefb5c2f5133237.jpg)
利益率の高いセクター、低いセクター
図表5は、予想利益率(マージン)をみたものです。こちらもセクター固有の要素がありますが、一番左のS&P500全体と比べると、「金融」、「情報技術」、「通信」、「不動産」のマージンが高いことがわかります。
他方で、「一般消費財」と「生活必需品」は、マージンが低いため、株主から利益を増やすことを求められる企業は、価格転嫁をさらに進めていく圧力にさらされているといえるでしょう。冒頭の話に戻れば、それは、消費者物価のインフレ圧力が残る可能性を示唆します。
![利益率の高いセクターは「金融」「情報技術」「通信」「不動産」。低いセクターは「一般消費財」「生活必需品」](/mwimgs/e/b/500/img_eb5d0e1b1a50afe795b3b41c969a054131876.jpg)
バリュエーションが低いセクター、高いセクター
図表6は、バリュエーション(12ヵ月予想PER)をみたものです。すると、(2つ上で予想増益率が高いことを確認した)「エネルギー」、「素材」、「不動産」は、高い予想増益率にもかかわらず、バリュエーションは過去対比でみて、割安であることがわかります。
他方で、「一般消費財」に加え、増益率の鈍い「生活必需品」や「公益事業」はバリュエーションが過去対比で、割高になっています。
![あ](/mwimgs/7/2/500/img_72532cc46e40a8ef1b93e5ff9ae82e7b47056.jpg)