注意すべきポイントはまだまだある
その他のポイントとしては、以下の項目に注意しましょう。
4. 役員貸付金が多いとNG
中小企業では、会社から社長などの役員へ貸付をしているケースがあります。しかし、役員貸付金があると、「融資を受けた資金も社長の個人的な用途に使われるのでは」と判断されるため、審査においてはよい印象を与えません。融資を受けるならば早めに解消しておくべきです。
5. 売掛金が多すぎると嫌がられる
決算時に、未回収の売掛金があること自体は問題ではありませんが、売掛金が多すぎる決算書は融資担当者を不安にさせます。
審査の評価をよくするためには、取引先や取引条件を見直すなど、売掛金回収までの期間を短くする努力をしていることを示すのがベターです。
6. 仮払金、立替金を少なくしておく
何に使用するお金か明確に判明していない「仮払金、仮受金、立替金、預り金」が多く計上されているのもよい印象を与えません。使途不明金はなるべく少なくしておきましょう。
7. 税金はきちんと払う
法人税、消費税などの税金をきちんと支払っていることもポイントです。融資を受ける上では過度の節税はNGと心得ましょう。
8. 担保にできる不動産があるとプラス評価
担保にできる不動産があると、低利の担保付融資を受けられる可能性が広がります。
9. 所有している土地、有価証券の価値を確認
決算期には所有している資産の価値を確認し、含み損が出ていないか、あるいは担保になりうるかなどを確認しておきましょう
10. 現金化可能な固定資産があるとプラス評価
会社や社長が所有している固定資産のなかで、すぐに現金化できるものや、今後の資産価値が下がりにくいものは、担保として認めてもらえます。
11. 毎月の勘定科目内訳書を作成・提出する
毎月の入出金を記録した勘定科目内訳書を作成し、融資の際に決算書と併せて提出することで、ごまかしがないことをアピールできます。
12. 保証人の個人資産があれば信用度アップ
社長が連帯保証人となって融資を受ける際、役員報酬、不動産物件など評価価値のある個人資産を所有していると、審査が有利になります。また、損失が出ている決算年度でも、保証人である社長の資産があればプラスの判断材料になります。
13. 棚卸資産の増加に注意
棚卸しによって明確になる在庫数は「棚卸資産」として計上されます。売上に対する相応以上の棚卸資産は、経営を圧迫する要因と見なされ、審査にマイナスになります。
14. 現預金が潤沢にあるかが大事
個人の場合も、会社で銀行融資を申込む場合であっても、預金がどの程度あるのかは重視されます。
決算書では、先にも触れたように単なる数字の多寡や増減だけでなく、数字の裏にあるストーリー、創業1年(期)を終えて、今後、2年目、3年目の展望の見せ方もポイントとなります。その観点では、融資を受けたいタイミングによって決算期をいつに設定するかも考慮する必要があります。
田原 広一
株式会社SoLabo 代表取締役
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】