不動産投資を始めたいと考えているものの、「自己資金だけで始められる?」「どのような物件を選べばいいかわからない…」といった不安があり、なかなかスタートできないという方が少なくないようです。
そこでこの記事では、不動産投資の基礎知識や必要費用などについて徹底解説します。
不動産投資初心者がやりがちな失敗や具体的な物件選定のコツについても解説していきますので、これから始めようと考えている方はぜひ参考にしてください。
1. 不動産投資初心者が押さえておくべき基礎知識
不動産投資を始めるにあたって、まずは不動産投資初心者が押さえておくべき基礎知識について解説していきます。
1.1. 不動産投資の頭金は物件価格の1〜2割
まず始めに知っておくべきことは、どれくらいの資金を持っていれば不動産投資を始めることができるかです。まず、購入する不動産は、自己資金が足りない場合、金融機関から融資をしてもらって購入することになります。一般的には、頭金として物件価格の1~2割程度を用意する場合が多いです。
しかし不動産投資であれば、頭金がもっと少額でも融資をしてもらうことは可能です。なぜ自己資金が少なくても融資を受けられるのかというと、不動産投資では万が一返済が滞っても、金融機関が物件を差し押さえられるためです。
また、不動産投資では、収益性が高い物件だと安定した家賃収入が得られるため、その家賃収入を見込んだ金額を融資してもらいやすいです。そのため、住宅ローンよりも高額の融資を受けることも可能です。
1.2. 不動産投資の収益性は利回りでわかる
利回りとは、投資した金額に対してどれくらいの収益を得ることができるのかを判断できる割合のことです。不動産投資の場合には、表面利回りと実質利回りがあります。
表面利回りは1年間で得られる家賃収入の総額を物件価格で割った数値、実質利回りは、表面利回りに取得時にかかった諸費用など不動産投資でかかったコストが組み込まれた利回りとなります。実質利回りの計算式は、下記の通りです。
不動産投資を行う場合は、表面利回りではなく実質利回りを試算しておくようにしましょう。また、想定外の修繕費の支出や空室リスクなども想定しておく必要があります。
ちなみに、日本不動産研究所の調査(2021年10月実施)によると、賃貸住宅の利回りは、東京都内のワンルームマンションで3.8~3.9%程度、同じ条件で横浜は4.5%、千葉が5.0%、仙台は5.3%という結果でした。
1.3. 不動産投資には様々な種類がある
不動産投資と一口にいっても、いくつかの種類があり、それぞれが持つメリット・デメリットが異なります。物件の種類別に下記の表にまとめました。
どのような目的で不動産投資をしたいのか、また自己資金などを考慮し、自身に適した物件を選択しましょう。
1.4. 不動産会社の強みも様々
投資用の不動産を販売する不動産投資会社は、不動産を紹介してくれるだけではなく、融資を受けるために必要な書類の作成をサポートすることや、投資に関係する手続きを代わりに行ってくれることなど、不動産投資をするうえで欠かすことのできない存在です。
しかし、会社ごとに強みが大きく異なるため、それぞれの会社の特徴をしっかりと理解して相談することが大切です。たとえば、都心のワンルームマンションに強い会社や、中古物件に強い会社、一棟マンションの取り扱いが多い会社など様々です。
自分がどのような物件を希望しているのかを事前にしっかりと決めてから、不動産投資会社を選ぶことが重要です。
1.5. 不動産投資成功者は慎重に進める
不動産投資で成功している人々の共通点は、「慎重に物件選びを行う」ということです。経験豊富な投資家ほど慎重に時間をかけて物件を探しており、1年から2年程度時間をかけるという方も少なくないようです。
不動産は高額であるため、失敗したあとの立て直しが難しく、また投資初心者であれば、知識が不十分であるために騙されてしまうケースや、相場観がつかめないため、物件の価格が適正なのかの判断ができないといったことも考えられます。
安易に物件を決めてしまうことには大きなリスクが伴うため、投資初心者は慎重すぎるくらいの気持ちで行動しましょう。
2. 不動産投資初心者がやってしまいがちな失敗
それでは、不動産投資初心者はどのようなことで失敗する可能性があるのでしょうか?
ここでは、初心者が失敗しがちな行動をいくつか紹介していきます。
2.1. 不十分な自己資金で始める
不動産投資を始めるためには不動産を購入する必要がありますが、頭金0円で購入したとしても、仲介手数料や登録免許税などのまとまった諸費用も発生するため、思った以上に初期費用が必要となります。
また物件を購入してすぐに入居者が見つからずに空室の状態が長く続いたとしても、ローンの支払いを続けなければなりません。不動産投資が軌道にのるまでの間に、資金がショートしてしまう可能性もあります。
そのため、不動産購入時の初期費用に加えて、手元の資金もある程度余裕を持って用意しておくことをおすすめします。
2.2. 1社の不動産投資会社の勧めで買ってしまう
不動産会社のなかには、購入を早く決めてもらうために、物件のメリットばかりを説明し、デメリットになる部分の説明をしないという会社も存在します。特に初心者は知識が充分ではないため、うまい話をそのまま鵜のみにして1社で決めてしまう場合も多いようです。
しかし、先にも解説したように、経験豊富な方でも1年など時間をかけて物件を選んでいる場合も多く、初心者が安易に1社で物件を決めてしまうのはリスクが高いです。できるだけ複数の投資会社の営業マンから話を聞き、色々な物件を見て比較することをおすすめします。
また、初心者のうちはできるだけ多くの会社でたくさんの物件を紹介してもらうことで、物件を見る目を養うことができます。
2.3. 今買える物件から選んでしまう
不動産投資初心者がしがちなのが、物件探しを始めたときに今買える物件のなかで目についた、なんとなくよさそうな物件にすぐ決めてしまうことです。物件選びは今買えるものから選ぶことには間違いないですが、今買えるものが必ずいい条件のものとは限りません。
特に不動産投資初心者は経験も知識も浅く、今売られているものが本当によい物件なのか、あまりよくない物件なのかの判断が十分ではありません。
今買えるものを購入してしまいたい気持ちはわかりますが、不動産投資に慣れるまでは慎重に検討することをおすすめします。
2.4. リスクを把握せず対策もわかっていない
不動産投資に限らず、投資に失敗する人に共通することとして、事前にリスクを充分に理解していないということが挙げられます。どのようなリスクがあるかを事前に理解しておかなければ、対策を考えておくこともできません。
不動産投資では、下記のようなリスクが考えられます。
- 空室リスク
- ローン金利上昇リスク
- 価格変動リスク
- 家賃滞納リスク
- 修繕リスク
- 天災リスク
- 賃貸管理会社の倒産リスク
思った以上に空き室状態が続いてしまうリスクや、ローン金利が上がってしまうリスク、想定外の修繕費用がかかるリスク、地震や火災などのリスクなど、様々なリスクが存在します。
リスクを理解せずに始めて後悔することがないように、しっかりとリスクの把握をしておきましょう。
2.5. 賃貸管理について勉強していない
不動産投資は、購入したら終わりではありません。むしろ、購入してからがスタートだともいえます。
不動産投資では、購入後の賃貸管理がとても重要なポイントとなります。投資初心者の場合、賃貸管理についてよく理解しないまま運用を始めるとしっかりと管理ができず、空き室状態が続くといった失敗も考えられます。
不動産投資会社のなかには購入後の賃貸管理も含めてサポートしてくれるところが多いため、投資初心者の場合は、購入後のアフターフォローもしっかりと行ってくれる会社で購入するのがおすすめです。
また、賃貸管理についてすべお任せするのもいいのですが、しっかりと管理できているのかを定期的に自分の目で確認しましょう。
3. 不動産投資初心者は何から始めるべき?
不動産投資初心者は、失敗を避けるためにも事前に少しでも知識を得ることが大切です。ここでは、不動産投資初心者がまず始めにすべきことを3つご紹介します。
3.1. 不動産関連の書籍を読む
まず、不動産投資関連の基本的な知識を学べる書籍を1冊購入しましょう。あまり費用をかけることなく、手っ取り早く知識を集めることができます。
どのような書籍を買えばいいかわからない場合は、ネットで口コミを調べて参考にするのもおすすめです。参考までに、不動産投資初心者におすすめの本をいくつか紹介しておきます。
- 『世界一やさしい 不動産投資の教科書 1年生』著者:浅井 佐知子、出版社:ソーテック社
- 『確実に儲けを生み出す 不動産投資の教科書』著者:姫野 秀喜、出版社:明日香出版社
- 『不動産投資 1年目の教科書:これから始める人が必ず知りたい80の疑問と答え』著者:玉川 陽介、出版社:東洋経済新報社
そもそも本を読むこと自体が苦手だという方や、本で学ぶことが得意ではないという方は、この後に紹介する方法も試してみましょう。
3.2. 不動産投資のセミナーや講演会で経験者の声を聞く
本を読むより、実際に話を聞いたほうが理解しやすいという方は、セミナーや講演会に積極的に参加することもおすすめです。無料セミナーもあるので、初心者の場合はまずは無料のセミナーから参加してみるのもいいでしょう。
セミナーや講演会に参加するときの注意点として、セミナーのテーマが初心者向けなのかを確認する必要があることです。うっかり上級者用のセミナーに参加してしまうと、内容をさっぱり理解できない可能性もあるためです。
最近では不動産投資会社などがWEB上でセミナーを開催しているケースも増えてきていますので、定期的にチェックしてみましょう。
3.3. 様々な投資用不動産を自分の目で見る
不動産投資を始める前の段階では、どのような不動産にどれくらいの価値があるのかわからない状態です。しかし、実際に何件も不動産を見ていくうちに、確実に相場観が身についていきます。
また、何度も足を運ぶうちに、不動産投資会社との関係も構築されていきますので、より多くの情報が手に入るようになっていきます。売り主が手放す理由など、不動産投資の様々な事例を知ることもできるでしょう。
ただし、まったく買う気がないと、冷やかしとして判断されてしまって優先順位を落とされるため、買う意思があることは明確にしましょう。
投資初心者はとにかくたくさんの物件を自分の目で見て、よい物件を見極める力を養いましょう。
4.【初心者向け】投資用不動産の選び方
不動産投資用の知識を得る方法を知ったら、次は投資用の不動産を選ぶ方法についても確認しておきましょう。不動産投資会社に言われるがままに選ぶのではなく。自分でしっかりとした選定基準を持っておきましょう。
4.1. 資産価値が高く金利が低い
不動産投資用の物件は、資産が高いものを選ぶことが大切です。不動産の資産価値が高いということは、不動産の価格が下がりにくいということです。想像していたよりも安定して入居者を確保できない場合でも、売却して利益を得ることができるというメリットがあります。
初心者ほど、リスクを抑えるために資産価値が高い物件が出るまで粘ることが大切です。
また、不動産投資ローンの金利もできるだけ低いほうがメリットが大きくなります。金利が高いとランニングコストが上がるため、収入に上限がある賃貸経営では難易度が上がります。少ししか金利が変わらなくても高額の不動産では大きな差になるため、少しでも金利が低いものを選びましょう。
4.2. キャッシュフローが早い
「キャッシュフロー」とはお金の流れのことを指し、キャッシュフローが早いということは、現金が早めに入ってくる状態であるということです。収益性が高い物件の場合、空き室状態がなく常に家賃収入が入る状態となり、キャッシュフローがよくなります。
しかし、空き室状態が続く物件の場合は当然ですが家賃収入はゼロとなり、キャッシュフローは悪化します。キャッシュフローがないということは、ローンの返済のために本業の収入や貯蓄をまわす必要があり、手元にある資金がどんどんなくなっていきます。
キャッシュフローをよくするためには、空き室状態が出ない収益性の高い物件を購入すること、また、物件にすでに住人がいる「オーナーチェンジ物件」など、すぐに現金が入ってくる物件の情報を不動産会社から聞き出せることも大切です。
4.3. 初期費用が少ない
まったく投資の経験がない方にとって、トータルでどれくらいの資金が必要になるのか見通しを立てることは非常に困難です。あとから発生する追加の費用を払っている間に資金が底をついてしまった、などのケースに陥る可能性も充分にあるのです。
そのようなリスクを避けるためにも、初期費用はできるだけ少なくしておくことが重要です。不動産投資の場合は、初期費用だけでも数百万円かかることも少なくありません。
たとえば、下記のような初期費用が発生します。
- 物件の頭金
- 不動産登記費用
- 登録免許税
- 火災・地震保険料
- 不動産取得税
- 印紙税
- 不動産仲介手数料
- ローン事務手数料
不動産投資では、予期せぬ設備トラブルなどで大きな出費が出ることもあります。できるだけ手元の資金には余裕を持っておくことをおすすめします。
4.4. 修繕費が少なくランニングコストが低い
修繕箇所がどれくらいあるかによっても異なりますが、100万円を超える修繕費が必要になることも少なくありません。また、修繕費の支払いは分割できないこともあるので、用意している自己資金があっという間になくなってしまう可能性があるのです。
なお、外からパッと見ただけではわからない部分に、大きな欠陥があって修繕しなければならないこともあります。知識が充分ではないうちは、業者にお願いして一緒に内見してもらうようにしてください。
また、ランニングコストにも気を配る必要があります。ランニングコストは空室の状態でも発生しますので、空室の期間が長ければ長いほど、リスクが高まっていくので注意が必要です。
4.5. 売却しやすく失敗ダメージが少ない
どれだけ慎重に選んだつもりだったとしても、初心者である以上は失敗する可能性も考えられます。失敗だったと判断したときには、これ以上は損失を増やさないようにするために、不動産を売却してしまうことが大切です。売却できなければ維持・管理のための費用を払い続けなければならないため、赤字だけが増えていきます。
しかし、投資用不動産は流動性が低いため売却しにくいケースも多く、売りたくても手放せず赤字が拡大してしまうこともあります。
失敗してしまったときのダメージを最小にするためにも、まずは売却しやすい物件を選ぶことが重要です。売りやすい物件の条件には、立地条件がよいこと、周辺環境がよいこと、設備がいいこと、管理が行き届いていることなどがあります。
物件選びは決して妥協せず、様々な条件に合う物件を根気よく探すことをおすすめします。
5. 不動産投資に初心者でも成功するには慎重さが重要
不動産投資を始めたものの、知識も経験もない投資初心者は、不動産投資会社に言われるままに安易に物件を購入してしまい、思ったように収益を得られずに失敗をしてしまうリスクもあります。
不動産投資初心者は、始めのうちは慎重になり過ぎるくらい時間をかけて物件を探し、とにかくたくさんの物件を見て目を養うことが大切です。
また、不動産投資の書籍を読んだり、セミナーに参加したりするなど、積極的に知識や情報を得ることを心がけましょう。